「あんたら! なにやってんのよ!!」 走りながら大声を張り上げる。 声を出すってのはすごく大事なんだ。静かに無言でやっつけるってのも格好いいけど、それはすごく実力差がないと無理。 だから破落戸なんかは、まず凄むんだよね。「なんだてめえ」「まめっこいのが走ってきたぞ」「豆戦車だな」 くだらないことを言ってげらげらと笑う。 見るからにチンピラだ。 大の男が菓子なんか食べない、という狭量からは解放された私だけれど、こいつらがアルブルの利用客でないことは判る。 誤解のしようもない。「おまめちゃん。ころぶなよう」 馬鹿にしまくった声だ。 私は内心でほくそ笑み、さらに加速しながら右足を蹴り上げる。 最も近いところにいた男の股間をめがけて。 何のためらいもない先制攻撃だが、チンピラたちがわざわざ言質を与えてくれたからね。 騎士の娘を平民が面罵した。 無礼打ちでずばっと斬り殺されても文句はいえないんだ。 景気のいい音とともに、悶絶するチンピラ。 石畳を転げ回る。 残った連中がざわっと色めき立ち、戦闘態勢に移行しようとした。 遅い。 遅いよ。 こっちもすでに次の目標を絞っている。「良いことを教えてやろう。貴様らがいま馬鹿にした令嬢は、白騎士たるこの俺の恋人だ」 ところが、私が仕掛けるよりも早く、飛燕みたいな速度で追いつき、追い抜いたレオンが、立て続けに三人ばかり殴り飛ばす。 腰間の剣を抜かなかったのは、あまりにも実力差がありすぎるからだろう。 圧倒的すぎる戦闘力に、私の目は点になってしまう。「ひ……っ!?」「白騎士レオン……っ!」 目が点ではすまず、顔面蒼白になるチンピラども。 白騎士の地位は騎士の娘なんて比じゃない。 国王陛下に直奏できる立場だからね。敵対するってことは、その人だけの問題じゃない。親兄弟はおろか親類縁者にまで累が及ぶんだ。「二度は言わぬぞ。去れ」 低く、押し殺した声だがなぜかよく響く。 怪我人を担ぎ、チンピラたちが脱兎のように逃げていく。「お見事です、あいたっ!?」 褒めようとした私のおでこを、レオンがピンと右手で弾いた。「何するんですか! レオ!」「なにをするかじゃない! 危ないことをしちゃいけないといつもいっているだろう!」 いや、一
Last Updated : 2026-07-15 Read more