刻々と迫りくる嵐を迎え撃つべく、アーサーは急ぎ教会内の点検を終え、外回りを確認しようと教会の扉を開けた。 だが、すでに外は叩きつけるような雨。視界は白く煙り、これ以上の野外点検は不可能に思えた。 「これじゃあ、もう外は見に行けないな。嵐が早くどこか行くようにお祈りをしなくちゃ」 諦めて中へ戻ろうとしたその時──視界の端に、「異質な何か」が映った。 教会の入り口から少し離れた軒下。そこに、白いフードを被った大男が腰を下ろしていた。 アーサーと目が合った瞬間、男は驚いたように目を見開いて固まった。 丈夫そうな白い革ののフードから覗く髪は、老人のように白く、けれど手足は逞しく若さに満ちている。そして何より、そのフードの間から覗く赤い瞳の輝きに、アーサーは見覚えがあった。 (彼だ……一目見たいと願っていた、あの流浪人だ……!) 直感で理解した。だが、男はすぐに視線を逸らし、アーサーの姿など見えないといった素振りをし始めた。 (そうか、嵐が来たら森でキャンプどころじゃないよね) 男はアーサーから顔を背けたまま、ただ教会の壁に背を預けていた。 だが無視されても、アーサーは引かなかった。困っている人を放っておくことは、彼の魂が許さない。 「よろしければ中で休みませんか? その立派な革のフードは確かに雨にも強そうですが、こんな軒下じゃ嵐までは防げませんよ。それに、お体が既に濡れています。それでは休まりきらないでしょう」 「……」 彼からの返事はない。男は一瞥しただけで、またすました顔をするばかりだ。 (くっ、このぉ……僕はその程度じゃ諦めないぞ!) 「困っている方に対して門戸を開くのは教会の義務なのです。慈悲のために温かいスープやパン、毛布も用意してございますが、興味がないのでしたらそこから出て行っていただけますか? 教会に用がない方を敷地に置いていかないようにと、司祭長に申し付けられておりますので
Zuletzt aktualisiert : 2026-07-14 Mehr lesen