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第8羽:風俗嬢とサイボーグ(上)

last update Tanggal publikasi: 2026-04-13 23:59:28
【2019年2月】東京都・港区

キヨミは、Web編集者の仕事を辞める決意をした。

その朝、彼女はいつものように出社し、簡潔に書いた退職願を人事部のデスクに置いた。内容はたった三行。

「一身上の都合により、

平成31年2月末日をもって退職いたします。

お世話になりました。イチノセキヨミ」

午後12時半過ぎ、人事部長から内線がかかってきた。

「イチノセくん、ちょっと来てもらえるかな」

会議室に呼ばれたキヨミを待っていたのは、40代半ばの部長と、若い女性の人事担当者だった。部長は退職願を指で軽く叩きながら、困ったような笑みを浮かべた。

「君のような優秀な人材がいなくなるのは、正直困るんだが……どうしたんだい? 給与面か? それとも部署異動の希望でもあるのか?」

キヨミは静かに首を横に振った。

「もう決めたことですので」

感情のこもらない、事務的な声。

その瞬間、隣に座っていた女性の人事担当者が、慌てたように身を乗り出した。

「ちょっと待ってください、イチノセさん! 本当に急すぎますよ……? せめてあと1ヶ月は引き継ぎ期間を取ってからとか、考え直せませんか? 来月から、新プロジェクトも始まるじ
道中ヘルベチカ

※2026/4/17 0:58(JST)更新

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  • 新米ソープ嬢は無月経の体で百合と童貞に溺れる ~シルヴァア・スワロウ~   第53羽:サンマと酸素カニューラ(下)

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  • 新米ソープ嬢は無月経の体で百合と童貞に溺れる ~シルヴァア・スワロウ~   第4羽:亡霊とWebライティング(下)

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  • 新米ソープ嬢は無月経の体で百合と童貞に溺れる ~シルヴァア・スワロウ~   第3羽:亡霊とWebライティング(上)

    【2019年1月】東京都・港区キヨミが自分自身を、おそろしく醜悪な存在であると認め始めたのはいつからだろう。まだ純な乙女であるべき中学時代、とある留学生の男子と情事を重ねてからか。その恋は彼の帰国と共に終わりを迎え、深い喪失を味わった。あるいはそれより前、無垢な童女でいた小学生のころ、友達だと思っていた女の子に、アパートの屋上から突き落とされたときからか。藪に落ちたおかげで、奇跡的に大怪我は免れた。原因そのものは、幼少期にありがちな些細な気持ちのズレだった。物事の始まりを思い返してみてもキリがないことは、キヨミ自身もわかっている。ある宗教でも“人間は生まれながらに罪な存在である”と言っ

  • 新米ソープ嬢は無月経の体で百合と童貞に溺れる ~シルヴァア・スワロウ~   第2羽:ヴァンパイアとティッシュ(下)

    “この仕事はね、本能的に「感じる」ことのできる人間にしか続けられない。ただエッチが好きなだけじゃダメ。相手によって感覚が鈍るような、ただの女には無理。「ビッチ」になるの。身も心も「ビッチ」になりなさい。長く続けたいならね”初日の講習で、そう言われたことを思い出す。ああ、やはり自分には、この仕事が向いていたのかもしれないという気持ちになる。「気持ちいい?」「ああ、はい、気持ちいい、です」「うそ。初めてなのに、わかる?」まだ少し戸惑うような表情の客を見ながら、キヨミはイジワルを言う。それも、講習で習ったテクニックの一つだ。「わか、わかると、思います」「ほんとうに? 変な感覚でしょ。

  • 新米ソープ嬢は無月経の体で百合と童貞に溺れる ~シルヴァア・スワロウ~   第1羽:ヴァンパイアとティッシュ(上)

    【2019年3月下旬】東京都・新宿区その日の最初にキヨミを指名した客は、自らの名をテラダマコトと名乗った。身長は高く、全身がやたら白い。もうすっかり桜も満開の時期なのに、雪を思い出させるような色だ。ひょっとしたらこの日も、店へ足を運ぶまで一歩も外出しなかったのではと思うほどに。ただ、そのように日の光を避けて生きるヴァンパイアのような人種は、ここ歌舞伎町ではそう少なくはないと聞く。「ごめんなさい、こんなガリガリのみすぼらしい裸で」湯船から上がってバスタオルを腰に巻いた客は、キヨミに視線を向けられているのを恥じてか、両腕を胸の前で組んで体を隠すような仕草を取っている。キヨミは「大丈夫ですよ

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