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2-2

작가: 琉斗六
last update 게시일: 2026-06-10 14:44:35

 警備員と共に救急車を見送ったあと、神谷は身支度を整えて帰宅の途に付いた。

 残業をしていたのは、仕事があったから……ではない。

 陽翔が残っているのに気付いたからだ。

 神谷が初めて陽翔に会ったのは、入社前の面接時だった。

 可愛らしい面立ちと、小柄な体格。

 なにより、うなじをガードするために巻かれたチョーカーを見れば、陽翔がオメガであることは一目瞭然だった。

 同期にオメガがいたことに驚きもあったが、その時はさほど気に留めてはいなかった。

(オメガとつがえないアルファは、数多にいるものだしな)

 人口比率として、それは当たり前の話だ。

 そもそも合理主義の神谷は、〝本能に引きずられる〟ということにも納得出来なかった。

 男性であっても妊娠が可能で、アルファを生む可能性が高い。

 政府の教育方針によって、学校でもオメガは特別〝大事にしなければいけない〟と教えられる。

(だからって、守られて当然って態度はどうなんだ?)

 オメガ性であることを全面に押し出し、優遇処置を声高に叫ぶ同級生。

 アルファの中でも更に優秀と太鼓判を押された神谷に、フェロモンを撒き散らしながら迫ってくる者。

 神谷のオメガに対するイメージは、かなり悪かった。

(関わりになるのは、面倒だな……)

 最初は、そう思っていた。

 だが、長野の元で一緒に指導を受けたことで、陽翔に対する印象は塗り替わった。

 オメガだからと甘えずに、アルファの神谷に負けじと努力する姿勢。

 真面目で、負けん気が強く、易々と心が折れないことにも感心した。

 しかし同時に、同じ企画を出しても、陽翔の──オメガのものだけが採用されない現状にも気付いた。

(上層部は、アルファの言うことなら大丈夫と思ってる)

 システムキッチンの動線。

 棚の配置。

 ユーザーの意見の受け止め方。

 陽翔の発想は、いつも神谷に新しい刺激をくれた。

(もし小泉がアルファだったら、俺より優秀だっただろう)

 もちろん、陽翔がオメガであるが故に、弱者目線の発想が出来ることもあるだろうが。

 それ以上に、逆境に負けない根性や、否定や欠点を補うためにどうしたら良いかを探求する向上心が、自分には無いと感じた。

(オメガだからと埋もれさせるのは、もったいない)

 陽翔を上に認めさせたくて、神谷はさほど興味も無かった〝出世〟を望んだ。

 自分が上に立てれば、陽翔の風除けになれる。

 あの才能を、存分に伸ばしてやることが出来る。

 だがスーパーバイザーごときでは、まだまだ発言力は弱い。

 どれほど神谷が「大丈夫」と言ったところで、オメガの案だと聞けば、上層部はうがった目で見るに違いない。

(俺の口添え付きじゃ、本人も納得しないだろうしな……)

 アルファと同レベルの内容では、陽翔の案は見向きもされない。

 隙のない完璧な、誰にも文句を言わせない内容でなければ駄目なのだ。

(小泉の才能ならば、それが出来るはず……)

 もう一踏ん張り、磨けば通る。

 どんなに否定されても、その悔しさをバネに、陽翔は新たな企画を上げてくる。

 そう、いつだって陽翔は、神谷の予想を良い方に裏切ってくれるのだ。

(だが、今日の件は……、さすがに堪えるだろうな……)

 人けのないホームで、神谷は嘆息した。

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