LOGIN話し合いが終わり、さっきまでいた店員を呼びに奥へ顔を出す。
「すまない、話し合いが終わった。この子を買い取ることにしたい。いくらだ」
「そうですか。お決めになりましたか。この子は……正直なところ性格も暗く、まだ幼いのでこれから育つ分も考えると……金貨4枚というところでしょうかね」
指を4本、差し出してきた。
「ちなみになんだけど、人が一年間生活するのにいくらぐらいかかる? 」
小声でイアンちゃんに確認する。
「そうですね、家がある前提だと金貨2枚ってところでしょうか。なので人一人分としてはかなりお安い値段になってると思いますよ」
「なるほど、ここからさらに値切るかが俺の腕にかかってるわけだな」
「どうするつもり……あ」
イアンちゃんは気がついたらしい。そう、俺には鑑定がある。奴隷をそれぞれ鑑定して値札をつけさせることによって、商売上の売り文句になるってわけだ。どんなスキルを持っているかわからない奴隷より、はっきりわかっている奴隷のほうが売れ行きが良くなるんじゃないか。
「さて、金貨4枚用意できますか? 」
「用意できる。それはさておき、ちょっとした商売の話をしないか? 」
「ほう、商売ですか。どのようなものをお出しできるのですか? 」
「俺は鑑定のスキルを持っている。バアさんたちみたいに固定で居るわけでもなく、それらのスキルを人数分、書き出すことも可能だ」
「なるほど、奴隷に値札をつけてくれるってことですか。……それはなかなか魅力的な相談ですね。2人で銀貨1枚ってところでどうですか? 」
「それはさすがに安すぎる。出張サービスつけて、3人で銀貨2枚だ。これ以上は譲らん。そっちとしても、奴隷が1人売れてさらに安値で出張鑑定までしてもらえる。これで十分だろ」
「んー……そうですね、それで納得しておきますか。では、次々に連れてきても? 」
「ああ、さっそく始めよう。紙とペンを頼む。それぞれの奴隷に自分の価値を文字として付けてやりたいからな」
鑑定結果はすべてカタカナで浮き出てくるが、実際の効果が同音異義語で別のスキルだったとしてもそこまでは責任は負えない。例えば詳細鑑定なんかのより上位のスキルがあって、ここでは漢字やひらがなを使用できるほどに成長するならばまだ商売っ気にもなりそうだが、今のところは鑑定レベル1ってところだからな。
より詳細な鑑定ができるようになるかの実験も含めて、ここで人数を稼がせてもらってしっかりと経験値にしていこう。剣術のレベルも1とか2がついてたわけだし、鑑定だって人数を稼げばレベルが上がってよりわかりやすくなるかもしれない。それに賭けてみよう。
次々に奴隷が運ばれてくる。こんなに人数いたのか、と思うほどに大量の人数だ。だが、これも仕事のうち。それぞれの人を見て、ついているスキルを鑑定し、カタカナで出力して次の人に回る。イアンちゃんとセルフィちゃんにも手伝ってもらって、スキルを書いた紙をどんどん渡してもらって、それから奴隷の整列にも協力してもらう。
半日かかって、150名ほどのスキルリストを書き出した。そしてその人数分として、金貨1枚を受け取る。
「正直助かりました。これで奴隷の売込みもより積極的にかけることができます」
すっかり商人口調になった奴隷商からお礼を言われる。完全に対等な商売相手として見られているのが口調の変化から見て取れる。
「こっちも、実質金貨1枚割り引いてもらったようなものだからな。気にすることはない」
「では……今回の取引どうもありがとうございました。こちらも精いっぱい商売をやらせていただきます。では、遅くなりましたが奴隷の所有権の移譲手続きを始めさせていただきます」
奴隷商が使役術を使って、自分の所有している奴隷から、所有権を俺へと移していく。セルフィちゃんの手の甲に刻まれた文様が光り、そして俺の手の甲にほのかな光を放ち始めたが、すぐに消えた。
どうやら、奴隷の主としての文様もこちらの手の甲に刻まれるらしいが、主のほうは“奴隷使役紋がある”という瞬間だけ光り、普段は消えたままらしい。奴隷の主であることは隠して生活できるようにすることができるようだ。
「これにて、契約の更新は終了です。試しに、何か命令をしてみてください。人間としての尊厳を辱めるような行為でなければ借金奴隷なら問題なく聞くはずです」
「では……セルフィちゃん、立って」
セルフィちゃんはそういうと、素直にビシッと立つ。
「右手上げて、右手下げて、左手上げて、右手も上げて、つま先立ちになって、両手下ろして」
言う通りの動きをしていくセルフィちゃん。元気があって可愛いなあ。
「セルフィ、自己紹介と年齢、それから……これから何をしたいかを言ってみて」
「はい、セルフィです。年齢は12歳です。これからは……ご主人様のお役に立てるように頑張ります」
素直に自己紹介をする。セルフィが自分の名前を名乗ったところからしても、どうやらこの世界で名字を名乗ることはないらしい。つまり、俺はタカナシで通すことになるわけだな。
「タカナシだ。セルフィ、家族だと思ってくれていい。これから頑張っていこう」
「家族……タカナシさんも私を借金のかたに売り飛ばすんですか? 」
あ、やばい。また目元が暗くなって声が震えはじめた。これはまずい話を引いたかもしれない。急いでとりつくろわなければ。
「ごほん、言い直そう。ご主人様のままでいい。俺の人生の目標は君を奴隷身分から解放することにしていくよ」
「そこまでして、私を買ってくれる、その理由はなんですか? そして、私だけを救ってもらえるわけはなんですか? 」
「それは、おいおい話していこう。とりあえず今日はここでできることはやった。もう昼を過ぎたことだし、ゆっくりその辺を話していこうじゃないか」
そのまま奴隷商を出る。もう日は高く昇っていて、今から昼食……というにはちょっと遅い時間かもしれない。どこかの屋台で済ませることにしようか。ホーンラビットの串焼きが売っていたのでそれを買う。一本銅貨2枚。肉の量からして……三本で一匹分、というところかな。
9本頼んでイアンちゃんと俺とセルフィで三本ずつ。これで昨日自分で狩った分のほとんどは自家消費してしまったことになる。なんだかもったいないな。でもまあ、これで腹は膨れたぞ。さて、宿に戻って今後の確認をしていかないと。まずはセルフィに事情説明を始めるところからかな。
「職人を集めやすくなる……というのはどういうことですか、新しい業種の職人ですから、まだそれほどの技量の違いや慣れに差はないと思いますが」 ラムーさんは職人として完全に一日働く、ということを想像して人を雇うことを考えているようだ。「例えば、朝と夜は子供の世話をしている女性が、昼の鐘から夜の鐘の間だけ働く、というような場合でも、この分業制を取り入れればその間だけでも仕事に就くことができます。つまり、暇があれば誰でも職人として働くことができるというわけです。それだけ気軽に人を集めることができるなら、それは工房として……そう、マヨ工房として非常に大きなアドバンテージを得ることができます。職人を雇うのに人を選ばなくて済む、という大きなものがね」「工程を単純化することで誰でもできる作業に変化させ、そこに誰が入り込んでもいいようにさせるということですか……これ、他の業種でも同じようにできることにもなるんですかね? 」「物づくりの工房……特にギルドでまとめているジャンルの場合は反発のほうが大きいと思いますよ。一から十まで全部できるようになってようやく職人として一人前、として考えているところからすれば、そんなことをするのはとんでもない、と言われることでしょう。ですが、そういう反発の小さい所でより効率的にやっていくことは難しくないと思いますよ」「……参考にさせてもらいます」 ラムーさんがペンを走らせて注意事項を書き記していく。マヨ工房でざっくりできる加工はこのぐらいだな。「あとはそうですね。テーブルに加工を施して、かき混ぜる容器を固定できるようにすれば、器を押さえている人の分だけ人手が空きますから、ラインをもう一つ増やすようにできると思います。これは今すぐできるようになるというわけではないですから、ラインを増やすときの参考にするといいかと思います」 ラムーさんが「なるほど、なるほど」と話しながら全力でペンを走らせていく。あとはギド親方から手回し式泡立て器がいつ届くかだな。それで更に効率が良くなることだろう。器の固定と
ラムーさんを手伝い、木箱に入りきるだけの泡立て器を持って移動しようとしていたので、アイテムボックスに入れて両手をフリーにしてあげると、めちゃくちゃ喜んでいた。「ありがとうございます。本当に、アイテムボックスまで持ってるなんてタカナシ様はすごい方ですね」「どうせお店の見物へ行くついでなので。向こうで渡せばいいんですよね? 」「はい、よろしくお願いします。あーこれで肩が楽になった」「しかし、人数分の泡立て器ですか……必要なんですか? 」「ええ、従業員全員分必要でしょう? 」 人数分? という引っ掛かりはあるが、まあとりあえず持っていくとしよう。現金なもので、急にリラックスし始めたラムーさんに少し苦笑いしてしまう。ラムーさんの後に続き商業ギルドから少し離れて太い幹線道路を進むと、すぐに列を発見することができた。これがマヨの列なのか。 並んでいる客を見ると、容器を持っている客と持っていない客両方が存在する。「容器は……自前なんですか? それともつけてくれるんですか? 」「大きさと量にもよりますが、それぞれ値段を取ることにしています。これも木工ギルドからの買い取り物ですからね。必要以上に吹っ掛けるつもりはありません。あと、容器を持ってきてくれた人にはその分容器代を取らないことにしています。我々が売りたいのはあくまでマヨ。容器はついでですので」 たしかに、素手で受け取りに来て手に乗せてそのまま帰ってもらうわけにもいかんからな。しかし、容器も大小それぞれで来ているな。ちゃんと量り売りでやってるんだろうが、同じ容器を持ってきている人は、お試しの容器をそのまま持ってきて、その容器いっぱいでいくらなのかを計算させてもらうのだろうか。 安ければ大きい容器で買って帰って、高いと感じたか、そこまで需要はなさそうと感じたらサンプルを入れておいていった容器で事足りる、というところだろう。各ご家庭にも配布というわけにはいかないだろうが、店で飯を食った人が家に帰ってマヨの美味しさを広めているなら……と、いたいた。 明らか
セルフィと二人、街に繰り出すことになった。といっても、街のどこに何があるかもわからない二人、どこをどう歩いたものかと悩んでいるうちに、サイバルフクショクテンの前に着いていた。「ここも久しぶりに通るな」「久しぶりって程前でもないですけどね。まだ出会って10日ぐらいですよ、私たち」「逆に言えば、もう10日もたったのか……10日でしっかり稼げているのかな、俺たちちゃんと生活していけてるよな? 」「そうですね……ご主人様の財布の重さを確認していけばわかるとは思いますが、マヨの販売の代金も一部これから入るのでしょう? 仕事しなくても一定のお金が入るなら、あまり心配する必要はないとは思うのですが」「それもそうだな」「うむ、二人とも久しぶりであるな」 気が付くと、店先にサイバルさんが出てきていた。「どうも、ご無沙汰してます。あれから順調に暮らしていけております」「うむ、それは何よりである。それと、売ってもらった服だが、さすがに素材までは断定することはできなかった。残念だが、まだ私の財力と実力では再現は難しいらしいの」 石油原料の服の再生産は……さすがにできないだろうな。後はゴムもあるか。さすがにこのあたりの気候でゴムの木に似たものが栽培ないし自生している可能性は低いだろう。「うむ、それで二人は今日は何用かな? 新作でも見に来たのかね? 」「いやあ、仕事が一区切りついたんで街のあちこちをぶらついて、どこにどんなものがあるのか確認しつつ、二人でお出かけですよ」「うむ、そうか。地図が欲しいなら冒険者ギルドでこの街の大まかな地図も販売していたはずだ。もし迷うのが嫌だったり、特定のお店へ行きたかったり、逆に近寄りたかったりするならば利用するとよい」「特定のお店とは? 」 セルフィが首をかしげている。サイバルさんが特定のお店というからには、あまりセルフィには聞かせたくない方面のお店だろうな。「うむ、子供にする話ではないが、娼館であったり、異性が酒を提
親父さんの代理でパンを買いに来たら、突然の廃業宣言に巻き込まれてしまった。「辞めるんですか? パン屋」「最近パンの売り上げがそれほど好調じゃなくてな。他の場所に新しいパン屋ができたせいだろうな。そっちのパンのほうがフカフカで、黒パンにも混ぜ物をして少しでも柔らかくしようとする努力をしているらしい」 ふむ、よくある新規出店に押されて古い馴染みの店が勢いに押し切られてしまうパターンか。まさに死活問題だろう。ここのパンには毎回顎を鍛えてもらっているし、銀の卵亭の親父さんも新しい店に切り替えて……というのは手間が増えるだろうしな。 それに、新しい店が同じように区切り日払いの掛け払いができるかどうかは怪しい。商売人にとって掛け売り掛け買いができるかどうかは大きく変わるところだろうし、できれば続けて商売してもらいたいところだろうな。「昔から懇意にしてもらってる店には引き続き利用してもらってはいるんだが、一般の家庭の需要が減って来ていてね。何かうちなりの売りを押し出さないと厳しいんじゃないかって家内とも相談してるんだが、いまいち思い浮かばなくてな。兄さん何かいい方法ないか? できることならなんでもやってみるつもりだ」 ふむ。パン屋か。さすがにパンチートは……ベーキングパウダーを使ってふっくらさせた白パン、というのは持ちネタとしてあったが、すでにこの世界ではふっくら白パンが存在する。 つまり、重曹なりベーキングパウダーなり、つまりは炭酸水素ナトリウムを使った膨張効果を使ったパンが一般に手に入るかどうかはともかく、既に存在するのでチートを一つ潰された気分だ。「これだけ詰め込め! 異世界に行ったときにチートできる知識100選」が99選になってしまった。 パン屋といえば……いや、パン屋ではなく、パン工場と幅を広げて考えよう。食パンに限らずパンメーカーでやっているキャンペーンをそのままこっちでもやってみるとかはどうだろうか。例えば……「パンを複数個買ってくれた人には丈夫なお皿をプレゼント、とかはどうだろう? どこかのギルドと共同開
今日もビカッと光る日差しで目を覚まし、ばっちり目が覚める。この目覚ましに慣れてからというもの、体の疲れはともかくとして、眠気がすっかり飛ぶように起きられるのはうれしい。きっと、この太陽光線には目覚ましの効果があるに違いない。 が、セルフィにはそこまでの効果がないようなので俺にだけ効く太陽光線ということだろう。おはよう世界、今日も頑張って生きるぞ。 セルフィを起こすと、そのまま顔を洗いに向かって井戸の冷たい水でしっかり目を覚ます。そして塩と布で歯磨きをして、今日もいい男っぷりを確認したいが、鏡がないので若い俺を確認することができない。 鏡はさすがに手軽に作る方法は難しい。銀をひたすら磨き上げて鏡のようにするぐらいしかないが、銀の板を用意するのが難易度が高いので、せいぜい水面に移った俺を確認するぐらいしかないだろう。 髭の手入れも、匕首みたいなナイフで髭を軽く剃り落とし短くするぐらいがせいぜい。石鹸を毎回使ってすっきりさわやかな俺を演出するのは金がかかりすぎるからな。それならもっと他の部分に金を使いたいところだ。 セルフィも顔を洗って、さっそく昨日身に付けた肌着を洗い始めたので、清潔魔法を使って汚れが落ちやすくする。すると、頭の中で清潔魔法のレベルが上がったとアナウンスがあった。レベル1からレベル2は結構早く上がるんだな。 さて、レベル2になるとどのぐらい性能が変わるんだろう。早速自分のパンツを洗う時に試してみよう。さすがに新品同様にまできれいになるとまではいかないだろうが、以前よりさらに汚れが落ちやすくなるのは間違いなさそうだ。 セルフィが自分の洗濯物を洗い終えたところで、俺のパンツにも清潔魔法をかけて洗い始めると、ほのかに石鹸を使い始めたかのような匂いが少しする。どうやら清潔魔法のレベルが上がると洗浄機能がついてくるらしい、泡立ちこそないものの、グングン汚れが落ちていく。これは便利だな。「なんか、私の時よりきれいになってます。レベル上がりましたか? 」「セルフィにかけたらレベルが上がった。どこまで何が綺麗になっていくかはわからんが、これからも細々と使って綺麗にしていこうと思う」 洗濯が終わり洗濯した手
顎をカクッカクッと言わせながら今日も安い食事……実際はそこそこ安いというレベルだが、それを食べ終わり、リバーシを眺める外野の列には並ばず、外側から見守る。 新しい遊びというものは人を熱中させるのは間違いないようで、みんな白パンセットを頼んででもリバーシを一度プレイしたい、そして他人のプレイを見て参考にしたり、自分の技として身に付けていこうとするあたりは違いはないらしい。 これがカードゲームであってもビデオゲームであっても、同じようなものなのだろう。しっかり観察していこうという向上心の高さと、自分の番で全力で楽しめるようにしていこうという考えは悪くない。「ちょっといいかい? うちの主人が来てないかい? 」 どうやら奥さんが帰りが遅い旦那を迎えに来たらしい。「おう、次で俺のリバーシの番なんだ。それが終わったら帰るからもうちょっと待ってくんな」「リバーシ? なんだいそりゃあ」「新しい遊びだ。ここでちょっと高い夕食を頼むと順番待ちはあるけど遊ばせてもらえるんだ」 奥さんと会話しながら、旦那さんが自分の番を待ち続けている。これは……明らかに盤が足りてないな。銀の卵亭だけでももう一面か二面必要になるだろう。そうでないと、いつまでたっても帰らない客であふれるかもしれないな。「なあタカナシさん、もう一面、リバーシを手に入れてくることはできないのか? このままだと深夜営業になってしまいそうだ」 親父さんも、ここまで人が集まるのは想定外らしい。売り上げはしっかり上がったが、店の看板を下ろせないのは問題、ということだろう。「木工ギルド経由でモクロク親方に問い合わせて、どのぐらい出せるか、で決まるでしょうが……ほかの店にも置かれていくことにはなるでしょうが同じ店に二台置けるほどの贅沢ができるかどうかはわかりませんね」「そうか。木工ギルドに問い合わせれば入手経路や値段、それからいつごろ入荷するかもわかるかもしれないんだな? 」「そうなると思いますね。向こうもこちらと同じように、降ってわいた注文を捌
銅貨90枚分の支払いをして、木工ギルドにさよならを告げる。親方が作る分は、いざ売れた時に商業ギルドと直接交渉して決めるらしいので、俺が発注したことにはならないらしい。とりあえず、ゲームの遊び方の説明書が必要だな。同じものを三枚用意する必要があるだろう。帰ったら紙に書いて説明書を作るか。セルフィにも文字を覚える練習にもなるだろうしな。 さて、戻るか。今日は一日良く休んだ。明日は何をしようかな……と、銀の卵亭に戻ると、セルフィはお休み中だった。よく寝ている。寝る子は育つというし、寝ている姿はかわいい剣聖様だ。さて、寝ている間にリバーシのルールを書
マヨネーズ職人の朝は早い。とまではいかないが、いつもの強烈な朝日に目をやられて起きるのが、もはや恒例になってしまった。おはようございます。 今日は休み。昨日銀貨16枚も稼いだおかげでもあるが、これでゆっくりマヨづくりに神経を注げるというもの。さあ、今日もしっかり頑張るぞ。 気持ちよく寝ているセルフィを起こさないようにそーっと部屋から抜けると、井戸でいつも通り顔を洗い、顔を拭き、そしてまたこっそり部屋に戻り、今日は綺麗なほうのパンツに履き替え、服も綺麗な服に着替える。今日は一日食品を取り扱う日だ、できるだけ衛生環境のいい服でいたい。 パンツも洗って……多少手が汚くなったが、まあ、このぐら
「あ、いました。一日どうでしたか。リンカちゃん、安いほう一つ」「あいよー、黒パンセット一つ! 」 ふと気が付くとイアンちゃんが訪ねてきていた。そういえば、夜にでも今日の一日の成果を確認しに来ると言っていたな。「やあ、イアンちゃん。一日ゆっくりできたかい? 」「それはもうゆっくりと……って、私のことは良いんですよう。お二人がどうなっているかが気になるんです」「それは、もうばっちり。この通り、今日のご飯は高級セットが食べられるぐらいには稼いできたよ」 テーブルの食器を指
身支度を整えたところで一階の食堂に降りて行って、リンカちゃんにリッチな夕食を二人分頼む。「父さん、白パンセット2つ! 」 席に座り、しばらく待っていると、しっかり両面を焼かれた白パンに具だくさんのスープとちょっとしたソースがかけられた肉が小さく一枚乗ってきた。どうやら今日はサービスがいいらしい。それとも、夕食の白パンセットには必ず肉がつくんだろうか。まあ、いい。 とりあえず食べよう……と、肉についているソースをなめとる。少しはちみつが混ぜてあるのか、ほのかな甘みとソースのこってり感がある、なかなかに味のあるソー







