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Auteur: エチカ
last update Date de publication: 2026-06-16 20:15:46

「あっ、これが嫉妬海老ね? 大きいわ」

 熱を通すと鮮烈な赤い色へと変化する草海老。

 そう高い食材ではないけれど、大人の掌ほどある身の大きさと甘みのある味が人気の食材ではある。

 海の中では草の様に縦に揺れて泳ぐ緑色の個体が、熱を入れると赤くなるのだ。

 それがまるで嫉妬した女性の頬の様だという話から、パートナーや恋人に沢山食べさせるなと言うジンクスを古い人間は信じているらしい。

「たくさん食べて」

「ん、甘い……」

 海老を頬張ったラヴェルの口元が、ワインの赤で色付く。

 小さな口を動かしながらも上品に食べるその様は、どこからどう見ても淑女に見えた。

「ネロ、食後にはアレを」

 傍に立っていた執事はまたコクリと頷いて炊事場へと静かに姿を消す。

「アレって?

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  • 没落した薔薇は、碧夜の星になる   やんごとなき人

     到着したのは一度来た事のあるアズユリカの街。 眩しい程に晴れた今日は、白い壁と風に揺れる花達が煌めいている。 この美しい景色の中にあっても、自分の状況を思うと呼吸さえ浅くなりそうだった。「こちらです、ベル嬢」 先導するセルジオの背中を追って、大きな迎賓館へと入って行く。 こんな所にいる人物―― やんごとなき人だと言っていたセルジオの言葉を思い出して、ごくりと息を飲んだ。 ベル・デルメールには上級貴族という鎧もなければ、後ろ盾という大きな武器もない。 ただしっかりと足元を踏みしめるようにしてラヴェルはとある部屋の前まで来た。 セルジオはリゼルに対し「君はここで」と制す。「……かしこまりました」 セルジオがノックし、中から一人の軍人が出て来た。 フォルツ少佐だ。「お待ちしておりました」「主は?」 セルジオに敬意を払うフォルツを見て、セルジオがもうただの放蕩息子ではない事が分かる。「奥でお待ちです」「さぁ、ベル嬢。中へどうぞ」 促されて入ったその部屋は、内装も白く調度品も一級品ばかりだ。 壁一面が大きな窓になっており、煌めく海の光が反射して眩しく、ラヴェルは瞼を伏せた。 アーチ形に抜かれた壁の向こうにある奥の部屋に、彼らの主はいるらしい。「よく来てくれた、レディ・ベル」 そう声をかけられて、姿を認めた瞬間。 ラヴェルは驚き、言葉を詰まらせる。 ファルマ・ヴェルモナ――現王のたった一人の息子であり、唯一の王位継承権を持つ男だ。「……お会い出来て、光栄です。殿下」

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