Beranda / BL / 血と束縛と / 第4話(3)

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第4話(3)

Penulis: 北川とも
last update Tanggal publikasi: 2025-11-02 17:00:50

「佐伯先生、ちょっとご相談したいことがあるんですが、かまいませんか?」

 素早く頭を引いた和彦は、即座に答える。

「はいっ、今行きますっ」

 ヤクザの組長という肩書きに似つかわしくなく、賢吾が大仰に顔をしかめる。和彦はたくし上げられていたTシャツを下ろしてから、苦笑しながらも賢吾の腕の中から抜け出そうとしたが、反対にきつく抱き締められた。

 抗議の声を上げる前に、賢吾に耳元で囁かれる。

「――千尋が、先生が相手してくれないと拗ねてたぞ。あと、長嶺組の組長も」

「長嶺組の組長って、あんたのことじゃないか……」

「そうだ」

 唇の端にキスされ、そのまましっとりと唇を重ね、和彦は賢吾の口腔に舌を差し込む。舌を甘噛みされて小さく声を洩らすと、そのまま性急に絡め合っていた。

「どんどんヤクザの扱いが上手くなってきてるな、先生。今のキスなんて、俺の好みそのものだ」

「……そうなるよう、仕込んだのはあんただ」

 賢吾の太い指に、唾液で塗れた唇を拭われた。さりげなく片腕で腰を抱き寄せられ
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  • 血と束縛と   第38話(3)

    ** 店を出ると、予想以上に冷たい夜風に頬を撫でられて和彦は首をすくめる。  隣に立った御堂はコートを羽織ることなく腕にかけると、灰色がかった髪を掻き上げながら辺りを見回した。すると物陰から、男たちがスッと姿を現す。和彦と御堂にそれぞれついている、護衛の男たちだ。  ここで二人は別れることになるため、和彦は御堂に礼を言って頭を下げた。食事をご馳走になったのだ。 「君と秘密の話ができるなら、安いものだよ。悪かったね。明日も仕事があるのに、遅くまで引き止めてしまって」 「とんでもない。こちらこそ、御堂さんとゆっくり話ができて楽しかったです」  もう一度頭を下げて、護衛のもとに向かおうとした和彦だが、御堂に呼び止められて振り返る。 「――近いうちにまた誘ってもいいかな?」 「えっ……、ええ、それはもちろん」 「実は数日前に伊勢崎さんから連絡があって、近いうちにまたこっちに来るようなんだ。そのとき、ぜひ佐伯くんも食事を誘いたいと言われた」  伊勢崎、と聞いてドキリとする。この瞬間、和彦の脳裏に鮮やかに蘇ったのは、伊勢崎玲の若く凛々しい顔だ。もちろん、御堂が指しているのは、玲の父親である龍造のほうだ。  うろたえる和彦に対して、御堂はこう続けた。 「息子が世話になった礼をしたいと、伝言を言付かった」  居たたまれない気持ちとは、まさに今の和彦の心境を指すのだろう。おそらく龍造は、『世話』という言葉に特別な意味を込めているはずだ。  よほど罪悪感に満ちた顔をしたのか、御堂は安心させるように和彦の肩に手を置き、小声で言った。 「心配しなくていい。玲くんのことで抗議したいとか、そういうつもりではないだろう。むしろ――君に感謝しているはずだ」 「感謝、ですか?」 「伊勢崎龍造は……というより伊勢崎組は、長嶺組と接触する機会を持ちたがっていた。君はきっかけとしては最適だ。そんな君に無体を働いたら、伊勢崎組はこちらでは身動きが取れなくなる。賢吾の執念深さについては、わたしがたっぷり語って聞かせているからね。だから今後のことを考えて、君とまず友好的な関係を築きたいんだろう」  伊勢崎組

  • 血と束縛と   第38話(2)

     ここで、料理が冷めてしまうことが気になり、和彦は焼き魚に箸を伸ばす。一方の御堂は、焼き物にステーキを選んだ。なんとなく意外な気がしたが、御堂は苦い顔をして、体力をつけるために肉を食べろと周囲の人間たちから忠告されているのだと教えてくれた。 それを聞いた和彦は、他人事とは思えなくて破顔してしまった。「大事にされてますね」「お互いにね。――さっきの君の質問の答えにも繋がるけど、君は本当に、総和会から大事にされているよ。だからこそ一部の人間は、わたしが目障りで仕方ないだろう」 和彦の頭に浮かんだのは、二人の男の顔だ。あえて名を出すまでもなく、御堂とは認識を共有しているはずだ。「総和会は、君の機嫌をなるべくなら損ねたくないんだ。だからこうして、わたしが君と会うのも大目に見られている」 だからといって、批判がないわけではないだろう。自分の知らないところで駆け引きが行われているのかもしれないと推測し、和彦は改めて、総和会という組織の得体の知れなさに思いを巡らす。 そんな組織のトップに君臨しているのが、長嶺守光という男なのだ。そして、自分の父親は――。 不穏な触手がまたじわりと広がったようだった。和彦は、世間話を装って切り出す。「御堂さんは、賢吾さんとつき合いが長いのでしたら、長嶺組の本宅に出入りされていたこともあるんですか?」「まあ、数回といったところかな。お互い、友達の家に遊びに行くという年齢でもなかったし。一応わたしは組の関係者だったから、まだ堅気の人間のほうが、気軽に出入りできていたかもしれないな」 御堂の言葉に、微かに肩が揺れる。「……その頃は長嶺組の組長は、今の総和会会長だったんですよね……」「ピリピリしていたよ。勢力争いが活発な頃だったからね。長嶺組が、というわけじゃなく、極道の世界全体が。本来こういう表現をしちゃいけないんだろうが、だからこそ、活気があった。影響力もあったから、忌避されながらも、反面、その影響力は頼りにもされていた。今はなんでもやりにくいよ。慎重に、警察の目をかいくぐることに神経を注いでいる」 一見してヤクザとは程遠い優

  • 血と束縛と   第38話(1)

     一度気づいた可能性は、和彦の中で不穏な触手を伸ばしていた。 自分の父親が、現在、自分をオンナにしている男と、かつて肉体関係にあったなど考えたくはない。しかし、頭から振り払えないのだ。 おぞましいと身震いをした次の瞬間、では自分の現状はなんだと自問し、ここで和彦の思考は停止する。そこでまた、俊哉と守光の関係について、一人では答えの出せない思索に耽る。その繰り返しだ。 若い頃の俊哉が、かつて面倒事を守光に処理してもらったことは、守光自身の口から教えられた。そのとき和彦は、〈縁〉による二つの家――というより、二人の男の意外な繋がりにただ驚いたのだが、今となっては、守光は何か含みを持たせていたのではないかと疑わずにはいられない。 それともただの考えすぎなのだろうかと、一縷の望みにすがるように思ったりもする。 俊哉が若かったということは、当然守光も若く、今のように刺青を隠したりはしていなかったのかもしれない。千尋が知らないだけで、当時は他人に気安く肌を見せていた可能性だってある。だが、エリート官僚である俊哉が目にする可能性は、どれぐらいになるのか。 和彦は胸苦しさを覚え、ふっと息を吐き出す。自分は父親を信じたいのか、それとも貶めたいのか、それすら判断できないということは、まだ頭も気持ちも混乱しているのだ。 わかりきったことを自分の中で確認した和彦は、何げなく視線を上げてドキリとする。御堂が真剣な顔をしてこちらを見ていた。目が合うなり、すかさず指摘される。「――今晩は、心ここにあらずといった感じだね」 動揺した和彦は反射的に視線をさまよわせたあと、すみませんと小声で謝罪する。「何か気になることがあるみたいだ」「いえ、そんな……」 一緒にいるのが御堂だからと、安心感からつい気を抜いていたらしい。和彦は座椅子に座り直すと、グラスを取り上げる。ワインを勧められたが、今日は冷茶にしてもらった。 目の前にはすでに料理が並び、最近肌で感じている秋の訪れを、使われている食材でも知ることができる。お茶を一口飲んでグラスを置いた和彦は、飾りとして添えられている紅葉を指先でつついた。 今日、いつも

  • 血と束縛と   第37話(31)

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  • 血と束縛と   第37話(30)

     胸元を撫でられ、触れられないまま硬く凝った突起を探り当てられる。指の腹で軽く擦られただけで、うつ伏せの体を波打たせるほど感じてしまう。千尋が嬉しそうに言った。「あとでいっぱい舐めて、吸って、噛んであげる。今はこれで我慢してね、先生」 胸の突起を指で挟まれ、抓るように刺激される。痛みはあるが、手荒い愛撫の心地よさが勝っていた。和彦が喉を鳴らして反応すると、もう片方の突起も同じ愛撫を施される。 内奥で千尋の欲望が蠢く。いや、蠢いているのは和彦の内奥のほうだ。さきほどから淫らな蠕動を繰り返し、若い欲望を貪り続けている。 そんな和彦を攻め立てながら、思い出したように千尋が切り出した。「――先生、俺のために刺青入れてよ」 和彦は、突然耳に飛び込んできた情熱的な――ある意味物騒とも言える言葉に、完全に虚をつかれた。「えっ……」「小さくていいし、ずっと先でもいいから。俺だけは特別って意味で、何か肌に彫ってほしい」「……刺青は、絶対入れない」「俺の頼みでも?」 背骨のラインに沿って指先が這わされ、ゾクリと体が疼く。千尋の口調は、甘ったれの青年のものではなく、己が持つ力を自覚した筋者のそれだった。「だったら、ぼくの頼みは無視するつもりか? 賢吾――お前の父親にも同じことを言われたけど、ぼくは承諾しなかった。……ここでお前の頼みに頷いたら、あとできっと同じことを、嫌でもお前の父親に約束させられる」「それは困る、かも……」 千尋にしっかりと腰を抱き寄せられて、内奥深くを強く突かれる。間欠的に声を上げながら和彦は、腰に回された千尋の腕に爪を立てた。内奥で、千尋の欲望はこれ以上なく大きく膨らんでいた。「はあっ……、このまま、先生のこと抱き殺しちゃいそう。好きすぎて、堪らないっ。独占できないのが、ムカつくのに、すげー興奮するんだ」 苛立ちともどかしさをぶつけるように千尋が激しい律動を始め、和彦は体を前後に揺さぶられる。嵐に巻き込まれたと感じたのは、わずかな間だ

  • 血と束縛と   第37話(29)

     千尋に尻の肉を鷲掴まれ、和彦は声を上げる。「おいっ……」「じっとしてて。すぐに気持ちよくしてあげるから」 思いきり双丘を割り開かれ、何をされるか察して身を捩ろうとしたが、次の瞬間、ぴしゃりと尻を叩かれた。このとき和彦の全身を貫いたのは痛みではなく、強烈な疼きだった。 熱い吐息が尻に触れ、鳥肌が立ちそうになる。「千、尋っ……」 柔らかく湿った感触が、いきなり内奥の入り口で蠢き始める。和彦は激しく羞恥を刺激され、千尋にこんなことをさせているという罪悪感にも似た感情に襲われるが、同時に、抗いがたい愉悦も生み出していた。「はっ、あっ、あぁっ」 執拗に内奥の入り口を舌先を舐められ、くすぐられ、少しずつ下肢から力が抜けていく。堪らず和彦が腰を揺らすと、もう一度千尋に尻を叩かれて、笑いを含んだ声で言われた。「恥ずかしがるけど、すごく好きだよね、舐められるの。先生のここ、もう真っ赤になって、ヒクヒクしてる。快感に弱い、先生そのものだ。だから可愛いし、大好き」 舌先がわずかに内奥に押し込まれてきて、浅ましくひくつかせてしまう。そこに、一本の指がやや強引に挿入された。「んんっ」 和彦は鼻にかかった甘い呻き声を洩らす。すぐに指が引き抜かれ、代わって舌が入り込む。油断ならない千尋の手が前に這わされ、柔らかな膨らみを優しい手つきで揉まれる。父親譲りの器用な指にあっという間に弱みを探り当てられた瞬間、和彦はビクリと背をしならせていた。 指先で弄ばれ、刺激を与えられる。さんざん弱みを嬲られたあと、今度はやや乱暴な手つきで柔らかな膨らみを揉みしだかれて、和彦は立て続けに甲高い声を上げていた。 腰が溶けてしまうと思ったところに、再び内奥に指を挿入される。今度は二本の指を出し入れされながら、発情し始めたばかりの襞と粘膜を擦り上げられる。ぐるりと内奥を撫で回されたかと思うと、浅い部分をまさぐられ、指の腹で強く押し上げられたときには、痺れるような法悦に軽い眩暈に襲われる。「――先生、入れるね」 和彦が全身を戦慄かせる頃になって、千尋がひそっと囁きかけてく

  • 血と束縛と   第6話(22)

    「不愉快どころか、やけに楽しそうでしたよ、秦さん。いい店を先生に紹介しないと、と張り切ってもいましたし」「ならいいんだ。あの人、職業柄なのか知らないけど、よく気をつかってくれるから。ぼくみたいな人間につき合って、迷惑をかけても悪いしな」 和彦が、長嶺父子のオンナであることは、すでに知られている事実だ。いまさら千尋と甘い会話とキスを交わしていたからといって、他人に喜んで報告するような悪趣味なまねを、秦がする必要もない。 和彦が心配していたのは、そんなことではなく、純粋に今言った通りのことだった。 大きく息を吐き出しながら、中島がマシンをゆっく

    last updateTerakhir Diperbarui : 2026-03-21
  • 血と束縛と   第4話(27)

    「――先生」  呼ばれて、おずおずと振り返ると、そこに真剣な賢吾の顔がある。何か言われたわけでもないのに、和彦は小さく喘いでから賢吾の唇にそっと自分の唇を重ねた。すると、賢吾のもう片方の手に、和彦の柔らかな膨らみは包み込まれる。 「ひっ、あぁっ」  泡で滑る手に柔らかく揉みしだかれ、たまらず和彦は、ビクッ、ビクッと腰を震わせ、背をしならせる。下肢が、甘く溶けてしまいそうだった。 「あとでたっぷり、ここを揉んで悦ばせてやる。最近、弄られるのがよくなってきたみたいだからな。今は、洗うだけだ」  賢吾の的確に動く指は貪欲に、和彦の官能を刺激する

    last updateTerakhir Diperbarui : 2026-03-19
  • 血と束縛と   第4話(2)

     また指で呼ばれ、和彦は賢吾のあとについていく。工事後は待合室となるホールでは、施工業者の人間が集まって持ち込む機材について話し合っている。その様子を一瞥した賢吾は、奥の部屋へと向かう。 「……護衛の人間は?」  ホールを見て、賢吾が一人でこのフロアにやってきたのは確認した。 「物騒なツラした人間を、一般の業者がいる場所に連れてくるわけにはいかないだろ。設計士は前からの馴染みだが、業者のほうはそうじゃないんだ。クリニックを始める前に、妙な噂は立てたくない」 「自分は物騒なツラじゃない、と言いたいんだな」  皮肉でもなんでもなく、思ったまま

    last updateTerakhir Diperbarui : 2026-03-19
  • 血と束縛と   第11話(20)

     外から男二人のにぎやかな話し声が聞こえてくる状況で、求められるまま、やむをえず舌を絡め合い、唾液を交わす。引き出された舌を痛いほど吸われると、たまらず和彦は鷹津の肩にすがりついていた。 ますます鷹津の腕の力が強くなり、和彦の中で奇妙な変化が起こっていた。鷹津のことがどうしようもなく嫌いで、嫌悪しているのに、そんな男にねじ伏せられるように口づけを交わしていると、高揚感に襲われ、体の奥深くから強引に官能を引き出される。 官能に形を借りた、サソリの毒かもしれないと、ふとそんな考えが脳裏を過る。鷹津の毒を注入され、体も心も侵されていくのだ。 思わず身じろごう

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