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第706話

Author: タロイモ団子
望美の細くしなやかな指先が、成哉の背中をゆっくりとなぞる。触れられた場所は、まるで火を灯されたかのように熱を帯びていった。

しかし成哉は、目の前の望美を記憶の中の紬だと思い込み、何ひとつ抵抗することなく、彼女のされるがままになっていた。

二人は向かい合って座っていた。

成哉はゆっくりと顔を上げると、その薄い唇を望美の白く透き通るような首筋へ這わせ、少しずつ下へと滑らせていく……

少し離れた場所。

車を停めたばかりの人物は、前方で不自然に揺れている車を見て一瞬きょとんとしたものの、すぐに事情を察した。

「今どきの若いもんは、本当に盛んだな」

――

成哉が紬を呼び出して以来、理玖の胸の不安は日ごとに募るばかりだった。

ある日、会社で文人が社長室へ契約書を届けに来た。

目の前まで歩いてきているというのに、理玖はまったく気づく気配がない。

不思議に思った文人が恐る恐る背後へ回り込むと、理玖がなんと十万文字にも及ぶ『愛妻獲得攻略本』を真剣に読みふけっているではないか。

思わず「チッチッ」と舌を鳴らすと、その音に理玖はようやく我に返った。

理玖は冷ややかな視線を向ける。

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