「それをやったのが、誠一だ」直哉は動画を再生した。映像はひどく揺れている。一目で盗撮とわかった。朝陽が取り巻きたちと酒を飲みながら、自慢話に花を咲かせている。よほど嬉しいことがあったらしく、前後もわからないほど酔いしれ、すっかり有頂天だった。周囲の仲間たちは杯を重ね、大いに盛り上がっていた。取り巻きの一人が言った。「誠一、お前すげえな!あの社交界の華の明日香を、あれだけ大勢に口説かれて、最後は嫁にはなれなかったけど、結局お前がかっさらったんだからな!」「ハハハ!誠一の遺伝子は最強だ!明日香は悠白に嫁いで、朝陽ともデキて、でも結局ガキは俺たちの誠一のだったんだからな!どういうことだ?あの寝取られ男二人がダメだったってことだろ!」「へへへ、誠一が朝陽を蹴落として当主の座に就いたら、俺たち仲間のこと忘れるなよ!」明日香の子が自分の子だと知ったばかりの誠一は、満面の笑みだった。酒のげっぷを一つして、大言壮語を吐いた。「安心しろ、俺が当主になったら、最初から俺を支持してくれたお前たちを、絶対に蔑ろにはしねえ!」また別の者が言った。「俺たちの誠一を見くびりやがって。明日香に自分の子を孕ませて、悠白に裏切りを抱えさせたまま、三年もの間、子育てを続けさせていたしかも朝陽を完全に引きずり降ろすことだってできるんだぞ!」「この朝陽ってやつ、普段から俺たちの誠一を子分扱いしてたくせに、能力なんて大して変わらねえだろ。ここ何年、葛西グループは朝陽の手でどれだけ損失出したか。誠一が舵を取れば、あんな赤字にはならねえよ」「器にも値しねえ当主なんて、遅かれ早かれ葛西家を食い潰すだけだ。誠一が毒を盛ったのは正解だよ。こんな穀潰しに子孫なんか要らねえ。お前は葛西家を救ってるんだよ!」仲間たちの口々の持ち上げに、誠一はすっかり天にも昇る心地だった。酒の勢いで、本音がこぼれ始めた。「朝陽……あいつの安泰な日々も、もう長くはねえ。おじい様の祝宴の日に、あいつが子供を作れないってことを暴露させてやる。それから、叔父たちを何人か焚きつけて、朝陽と権力を争わせる。あいつらが共倒れしたところで、俺が漁夫の利をいただく……」動画はそこで終わった。この衝撃的な真相を目にして、直哉は思わず舌を巻いた。葛西家の内部が、ここまで乱れていたとは。
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