智也が二階へ上がっていったあとも、玲奈はしばらく食堂に一人で座っていた。どれほど時間が過ぎたのか、自分でもよくわからない。ただ、身体がすっかりこわばってしまっているのに気づいて、ようやく立ち上がる気になった。どうにもできないのなら、受け入れるしかない。いくら考えたところで、何ひとつ変わらないのだから。玲奈はゆっくり立ち上がり、軽く身体を動かしてから二階へ向かった。愛莉の部屋の前を通りかかると、扉が少しだけ開いているのが目に入った。以前なら、ためらいなくその扉を押し開けていた。あの頃は、何も怖くなかった。けれど今は違う。心の中には、ためらいばかりが増えていた。愛莉が入ってほしくないと思っているかもしれない。顔を見た瞬間に泣き出してしまうかもしれない。あるいは、自分の娘が自分を責める言葉を投げつけてくるかもしれない――そう思うと、どうしても中へ入る勇気が出なかった。玲奈は唇を噛み、そのままゲストルームへ向かおうとした。だが、二歩ほど進んだそのとき、半開きの扉の隙間から、愛莉の甘えるような声が聞こえてきた。「パパ、ララちゃんに会いたい。迎えに行こうよ」智也は一瞬黙ったようだった。そしてしばらくしてから、短く言う。「もう寝ろ」その声音にどんな感情が混じっていたのか、玲奈にははっきりわからなかった。けれど、ほんのわずかな沈黙があっただけで十分だった。あの「寝ろ」という言葉を口にする前に、智也が心の中で何かに迷っていたことだけは、はっきり伝わってきた。すると今度は、愛莉の泣き声まじりの声が響く。「全部ママのせいだもん。ママが小燕邸にいるから、ララちゃんが来なくなったんだもん」智也は冷えた顔で愛莉を見つめ、低く問うた。「それで?愛莉はどうしたいんだ」愛莉の返事は、驚くほどはっきりしていた。「パパ、ママを追い出して。ひとりでおばあちゃんの家に帰らせて。みんなに嫌われてる、あの家に帰せばいい」娘の口から、自分の家族へのあからさまな嫌悪を聞かされて、玲奈の胸はひどく痛んだ。これ以上は聞いていられなかった。玲奈はその場を離れ、そのままゲストルームへ入っていった。玲奈が部屋に入ったその直後、今度は智也の、叱りつけるような声が響いた。「愛
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