玲奈がソファに腰を下ろしたとき、冴子はまだ戻ってきていなかった。広間の反対側へ行ったきりで、何をしているのかは分からない。スマホの画面を見つめながら、玲奈は拓海からの返信はもっと遅いものと思っていた。けれど意外にも、ほとんど間を置かず返ってきた。【どうした?俺に会いたくなった?】その文字を見ただけで、玲奈の脳裏には、あのどこかふざけた拓海の顔が浮かんだ。玲奈はラインに打ち込んだ。【今、あなたの家にいるの】すると拓海は、あっさりと返してきた。【知ってるよ】玲奈は不思議に思い、率直に尋ねた。【今日は大晦日なのに、どうして帰ってきて冴子さんと過ごさないの?なんだか、冴子さん元気がないみたいだったけど】しばらくして届いた返事は、こうだった。【お前が代わりに帰ってくれてるなら、それで十分だろ】玲奈はますます腑に落ちず、さらに問いかけた。【じゃあ、まだ仕事してるの?】けれど拓海は正面から答えず、逆にこう返した。【それって、俺のこと心配してるってことか?】玲奈は小さくため息をつき、それから打ち込んだ。【ただ何となく聞いただけよ。あなたが思ってるような意味はないから】拓海は言った。【もう食べて。うちの母さん、料理はうまいんだ。俺の分までたくさん食べて、少しでも長く話し相手になってやってくれ】玲奈は、本当はもう食事は済ませたと伝えるつもりだった。だが、文字を打ち終える前に冴子が戻ってきた。足音が聞こえてきて顔を上げると、冴子は片手に赤ワインのボトル、もう片方の手にグラスを二つ持っていた。こちらへ歩いてくる途中、玲奈が自分を見ているのに気づくと、冴子はふっと笑って尋ねた。「お酒は飲める?」玲奈はうなずいた。「はい、少しなら」それを聞いた冴子は、やわらかく微笑んだ。「じゃあ、少し付き合ってちょうだい」意見を求めるというより、最初から一緒に飲むつもりでいる口ぶりだった。玲奈は断ろうにも、断れなかった。少し考えてから、彼女は言った。「はい。お付き合いしますよ」冴子は腰を下ろすと、玲奈のグラスに赤ワインを半分にも満たないほど注いだ。二人でグラスを合わせて飲み始め、ほどなくして一本は空になった。とはいえ、ほとんどを飲んだのは冴子のほう
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