個室に入ると、修司はすでに到着していた。彼はテーブルの前に正座しながら、上半身には黒のタイトなシャツだけを纏っている。胸元にぴったりと張り付いた生地越しに、隆起した筋肉のラインがはっきりと見て取れた。その屈強な体躯は、ただ座っているだけで、圧倒的な威圧感を放っている。「水原さん、遅刻だぞ」修司は湯呑みを手に取ってお茶を飲み、鋭い視線を伏せたまま彼女を見ようともしない。その低く響く声には、ぞっとするような冷気が混じっている。「遅れてしまってごめんなさい。来る途中で、少し渋滞に捕まってしまって」絵里はいつも事実をありのままに口にする。その態度は、どこまでも堂々としたものだった。修司は手を差し出して促す仕草を見せ、ゆっくりと瞼を上げて彼女を睨みつける。「座れ」絵里が頷いて席に着くと、修司は眉をひそめ、丈裕へと視線を走らせた。その視線の意味は火を見るより明らかだ。外で待て、と暗に告げている。丈裕から見れば、目の前の男はまるで巨大な怪物のようだった。絵里様を彼と二人きりにするなど、到底安心できるものではない。だが、最終的に絵里が口を開き、丈裕に退出を促した。仕方なく、丈裕はそれに従うほかなかった。「何かあれば、すぐにお呼びください」丈裕は修司を深く見据えた。この男が放つ空気が、どうにも不快でならなかった。丈裕が部屋を出ると、ウェイターが次々と料理を運んでくる。美しく盛り付けられた刺身が、食欲をそそる。絵里の好物ではあったが、箸をつけようとはせず、修司を真っ直ぐに見据えて口を開いた。「水原グループと星野グループの間に、これまで目立った衝突はありませんでした。今回、そちらが水原を大々的に狙い撃ちにした件について、何らかの説明をいただけますか?」修司の彫りの深い顔立ちが険しさを増し、ナイフのように鋭い眼差しが、強引に絵里の視線を射抜く。「星野は常に利益を最優先する……だが」刺身を一切れ口に運び、咀嚼しながら傲慢な言葉を吐き捨てた。「たまには気分で動くこともある。最近の水原さんの振る舞いは、少々恩を仇で返すような真似だったからな」恩、だと?その言葉に、絵里は内心で冷笑を漏らしそうになる。前回T市のスーパーで、彼が手を貸したあの件を指しているのだろう。絵里はそれ以上深追いせず、た
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