บททั้งหมดของ 御曹司の妻を辞めた日、私は社長になった〜久世家を出た元嫁は、格上エリートと人生を再建する: บทที่ 81 - บทที่ 90

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81.怜央の責任

久世物産の会議室に並べられた資料は、前回までのものとは明らかに違っていた。そこには、KUZÉ ma vieの淡いロゴも、商品写真も、限定ボックスの美しい色味もなかった。机の上に置かれているのは、白い紙の束だった。接待費一覧。会食費明細。ホテルラウンジ利用明細。タクシー代精算。贈答品リスト。稟議書。決裁申請書。業務目的欄。同席者記録。取引条件変更履歴。前回までの資料には、商品名や在庫数が並んでいた。今日の資料には、日付と金額と承認印が並んでいる。華やかなブランドの裏側にあった、もっと地味で、もっと逃げにくい数字だった。怜央は、机の上の資料を一瞥しただけで顔をしかめた。「今度は何を見るんだ」声には、最初から苛立ちが混じっていた。美緒は、資料の一番上に置いた進行表を開いた。「本日は、KUZÉ ma vie周辺の施策判断と、関連する経費処理・決裁フローを確認します」「経費処理まで見るのか」怜央はすぐに言った。「商品や在庫の話ならまだ分かる。だが、接待費や移動費まで関係あるのか」美緒は怜央を見た。見たが、その視線には怒りも、責める色もなかった。「販促費、接待費、贈答品、移動費が、施策判断と取引条件にどう関係しているかを確認する必要があります」「細かすぎるだろ」怜央は吐き捨てるように言った。「新規ブランドの立ち上げで、ある程度の会食や関係づくりが必要なのは当然だ」長谷川が、銀行側の席で資料を整えながら口を開いた。「本日の確認は、私生活の問題としてではなく、経費処理と取引判断の問題として確認しています」会議室が、わずかに静まった。長谷川は、浮気という言葉を使わなかった。相沢紗季の名を責めるようにも出さなかった。ただ、経費処理と取引判
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82.久世家の体面では守れない

久世家の応接室は、その日も乱れていなかった。床の間には、季節の花が控えめに生けられている。磨き込まれた低い卓には、茶器がきちんと並べられ、座布団の角も揃っていた。古い柱時計の音だけが、部屋の奥から規則正しく響いている。何も乱れていない部屋だった。けれど、怜央の手元にある紙の束だけが、その静けさの中で不自然に重かった。佳乃子は、向かいの席に座っていた。淡い色の上着に、細い真珠のイヤリング。姿勢は美しく、手元の湯呑みに触れる仕草にも隙がない。久世家の中で長く身につけてきた所作が、今日も彼女を守るように整っていた。怜央は、銀行提出用の再建計画に関する資料を机の上に置いた。「次の資料案だ」声が少し硬くなったのは、自分でも分かった。佳乃子は、すぐには資料に手を伸ばさなかった。「美緒さんは、まだ関わっているのね」その言い方には、外部支援者という言葉はなかった。美緒さん。久世家を出た嫁。かつてこの家の食卓に座っていた人。佳乃子の中では、まだその位置にいるのだと分かる呼び方だった。怜央は、息を吐いた。「銀行が入れた支援だ。外せない」「外せない、という言い方はおかしいでしょう」佳乃子は静かに言った。「久世物産は、久世家の会社です」「今は銀行に再建計画を求められている」「だからこそ、表に出すものは慎重にしなければ」佳乃子は、ようやく資料を手に取った。数枚めくったところで、その指が止まる。外部支援。リブランシュ。作成支援、篠原美緒。その文字を見た瞬間、佳乃子の目元がかすかに硬くなった。「美緒さんの名前を、資料に出す必要があるの?」怜央は答えに詰まった。必要かと聞かれれば、必要だった。銀行は、誰が支援に入り、どの範囲を確認し、どの資料をもとに計画を作るのかを明確にしろと言っている。
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83.取引先の声

浜口が差し出したリストは、久世物産に優しいものではなかった。美緒は、小会議室の机に置かれた数枚の紙を見下ろした。そこには、久世物産の取引先名が並んでいる。老舗調味料メーカー。地域乾物メーカー。小規模菓子工房。漬物製造会社。農産加工品メーカー。地方百貨店向けに長年商品を出してきた食品会社。社名の横には、浜口が手書きで短いメモを添えていた。条件見直し希望。EC掲載後の反応不満。既存商品の提案停滞。催事負担増。取引縮小検討中。継続意向あり。ただし改善条件あり。美緒は、ペンを持ったまま顔を上げた。「都合のいい相手だけを選んでいませんね」浜口は、少しだけ苦く笑った。「ええ」その声には、覚悟があった。「久世物産に好意的な会社だけを聞いても、再建計画にはなりませんから」美緒はリストに視線を戻した。一番上にあるのは、東雲醸造。地元で長く続く調味料メーカーだった。味噌、醤油、だし醤油、季節のたれ。大きな会社ではないが、百貨店催事や地域のギフト需要では根強い顧客を持っている。久世物産とは二十年以上の付き合いがあると、浜口のメモに書かれていた。その横に、赤字で小さく記されている。「取引継続に迷いあり」美緒は、その一文に目を留めた。「最初に、ここへ伺うんですね」「はい」浜口は頷いた。「一番、耳が痛い話になると思います」「だから最初に?」「逃げると、後で余計に聞けなくなります」美緒は、浜口を見た。久世物産の中で、浜口はずっと現場の声を拾ってきた人だった。だが、拾った声がすべて会議室に届いたわけではない。届いたとしても、華やかな企画や上層部の判断に押し流されてきた。それでも、浜口は今、その声をもう一度拾い直そうとしている。久世物産に都合のいい話で
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84.名前のある一次再建計画

リブランシュの作業スペースに、いくつもの資料が並んでいた。朝の光はまだ柔らかい。窓際の机に置かれたノートPCの画面には、白い文書ファイルが開かれている。その周囲に、これまで作ってきた診断メモが紙の束になって広がっていた。久世物産_地域ブランド事業_初期診断01。KUZÉ_ma_vie_初期診断メモ。KUZÉ_ma_vie_残す止める見直す_初期案。管理体制改善メモ。取引先ヒアリング整理。EC導線分析メモ。現場・取引先関係整理。それぞれの資料には、別々の重さがあった。最初に資料を開いた時、久世物産には資料だけがあった。売上表も、在庫表も、販促費の一覧も、ECデータも、決裁記録もある。けれど、それらは互いにつながっていなかった。資料はある。判断がない。美緒が最初に書いたその一文は、今も診断メモの冒頭に残っている。その後、KUZÉ ma vieの世界観は、売上、原価、販促費、在庫、購入率に分解された。莉奈が大切にしていた箱やノベルティも、残すもの、止めるもの、見直すものに分類された。怜央の決裁は、個人的な感情ではなく、役員としての記録の問題として扱われた。佳乃子が守ろうとした体面は、銀行に説明できる信用とは別のものだと示された。そして、取引先の声を聞いたことで、久世物産にはまだ残すべき関係があることも分かった。ばらばらだった診断メモが、ひとつの資料へ集まっていく。それは、久世物産の問題を整理する作業であり、同時に、美緒が自分の仕事の輪郭を確かめる作業でもあった。美緒は、新しい文書の表紙にカーソルを置いた。久世物産。その四文字を打つだけで、指先に少し力が入った。かつて、その名前は美緒の上にあった。久世家の嫁として、久世物産を支える側にいた。けれど、その支えは表に出なかった。怜央の資料を整え、莉奈の企画の穴を埋め、森川や浜口が気にしていた数字を拾い、会
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85.計画を仕事にする

久世物産の会議室に入った瞬間、莉奈は、机の上に置かれた新しい資料を見て足を止めた。表紙は、一次再建計画よりもさらに実務的だった。久世物産 地域ブランド事業再建 実行管理表白い紙に、黒い文字。それだけだった。けれど莉奈には、その文字が前の資料よりもずっと冷たく見えた。一次再建計画には、まだ読むだけの余地があった。痛いことは書かれていた。KUZÉ ma vieの縮小も、不採算商品の見直しも、在庫処分も、たしかにそこにあった。それでも、計画書はまだ資料だった。今日の紙は違う。実行管理表。その名前だけで、もう逃げ場が少し狭くなった気がした。怜央も、資料を見た瞬間に眉を寄せた。「また新しい資料か」低い声だった。美緒は、会議室の前方に立ち、資料を一部ずつ配っていた。今日は余計な前置きがなかった。一次再建計画の意義を説明する場ではないのだと、彼女の動きだけで分かった。森川はすでにノートPCを開き、共有画面の準備をしている。長谷川は銀行側の席で資料を確認し、宗一郎は黙ったまま表紙を見ていた。藤崎は、リブランシュの外部協力者として末席に座っていた。かつて久世物産の社員だった時とは違い、今日は首から簡素な入館証を下げている。机の上には自分のPCだけを置き、配られた資料にはすぐ手を伸ばさなかった。浜口は、久世物産側の席にいた。美緒の隣ではない。だが、怜央や莉奈の側に完全にいるわけでもない。彼女は、久世物産の現場窓口として、資料に目を通していた。全員が席につくと、美緒が静かに口を開いた。「本日は、一次再建計画の内容を再確認する場ではありません」莉奈の指が、資料の端で止まった。「計画を実行項目に分解し、担当者、期限、報告方法を確定します」会議室の空気が、少しだけ重くなった。計画書は、読むだけならまだ逃げ場があった。けれど実行管理表には、名前が入る。
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86.縮小されるブランド

商品企画部の奥に置かれた長机の上には、KUZÉ ma vieのすべてが並べられていた。限定ボックスの見本。ロゴ入りのノベルティ。撮影用に使った白い布と、淡いピンクのリボン。商品カードの校正紙。ブランドカラーに合わせて選んだ包装紙。百貨店ポップアップ用に作った小さな卓上パネル。莉奈は、それらを見た瞬間、胸の奥がきゅっと縮むのを感じた。ここは、以前なら彼女にとっていちばん心が弾む場所だった。机の上に並ぶ一つひとつが、自分の感性が形になった証だった。久世物産という古い会社に、自分が新しい色を差し込んだのだと思えた。淡い箱を初めて見た日。ロゴの余白を何度も調整した日。ノベルティの色味に悩んだ日。撮影した写真を見て、やっとブランドらしくなったと胸が高鳴った日。その全部が、まだ目の前にある。けれど、今日は違った。同じ机の端に、別の紙が置かれていた。追加生産停止。ノベルティ施策終了。販売停止候補。在庫処分対象。商品ページ改修。その言葉が、莉奈の作った世界のすぐ横に並んでいる。昨日まで、そこに並んでいたのは莉奈の世界観だった。今日は、その隣に停止日と処分区分が置かれている。同じ商品なのに、見え方がまるで違っていた。森川は、制作会社への連絡文案を確認していた。文面は簡潔だった。限定ボックス追加生産の停止。既存発注分の状況確認。未着手分のキャンセル可否。キャンセル料の確認。既存在庫の納品スケジュール確認。莉奈は、その言葉を横から見て、思わず口を挟んだ。「でも、限定ボックスはブランドの顔なんです」森川の手が止まった。彼は困ったように一度だけ美緒を見る。美緒は、机の上の限定ボックスを手に取った。
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87.怜央の席

怜央は、自分の席を探した。役員会議室に入った瞬間、いつもの場所へ足が向いた。長机の奥、宗一郎の隣。久世物産の重要な会議では、そこが怜央の席だった。父の隣に座り、資料を受け取り、各部署からの報告を聞き、必要ならその場で指示を出す。KUZÉ ma vieの立ち上げでも、販促費の追加でも、取引先への対応でも、怜央はそこで判断してきた。今日も、無意識にそこへ向かった。けれど、その席にはすでに資料が置かれていた。席札には、こう書かれている。久世物産 森川怜央の足が止まった。席を間違えたのかと思った。しかし、机の配置はいつもと同じではなかった。宗一郎の隣には森川。その向かいに銀行の長谷川。長谷川の斜め前には、リブランシュの席が用意されている。リブランシュ 篠原美緒その席札を見た瞬間、怜央の胸の奥が重く沈んだ。自分の席は、少し離れたところにあった。長机の中央ではない。宗一郎の隣でもない。会議の進行を握る位置でもない。そこに置かれた席札には、ただこう書かれていた。久世物産 久世怜央役職名はなかった。地域ブランド事業責任者、という文字もない。久世怜央。名前だけが、机の端に置かれている。怜央は、自分の席を探した。いつもの場所には、もう自分の名前がなかった。それだけのことが、会議が始まる前から答えのように見えた。「おはようございます」森川が、淡々と頭を下げた。その声に、悪意はなかった。席を奪ったという顔でもない。ただ、新しい会議体に合わせて座っているだけだった。それが、かえって怜央にはこたえた。誰かが怜央を辱めるために席を変えたのなら、怒ることもできた。だが、これはそうではない。再建実行体制のために、必要な配置がなされただけだった。怜央は、何も言わず
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88.二人の合流

浜口佐和が最後にまとめた引き継ぎ資料は、薄いファイル三冊に収まっていた。一冊目は、取引先ヒアリング結果。二冊目は、優先対応先リスト。三冊目は、商品別の現場メモと、今後久世物産側で継続すべき対応事項だった。ファイルの背表紙に貼られたラベルは、どれも簡潔だった。けれど、その中には浜口が長い時間をかけて拾ってきた声が詰まっている。条件見直しを望む取引先。継続意向はあるが、説明不足に不満を持つ取引先。EC掲載を期待しながらも、商品説明の薄さに失望しているメーカー。華やかな企画の陰で、既存商品の提案が止まったことを気にしている相手。久世物産の流通網にはまだ期待しているが、このままなら別の販路を探すと話した会社。浜口は、そのすべてに目を通し、最後のページに付箋を貼った。森川は、向かい側の席で黙ってファイルを受け取った。商品企画部の会議スペースは、いつもより静かだった。昼前のフロアには電話の音も人の声もある。けれど、二人が座っている一角だけ、少し空気が違っていた。「ここまで整えてくれれば、次は社内で回せます」森川が言った。いつものように感情を大きく出さない声だった。浜口は、少しだけ笑った。「社内で、ちゃんと回してください」森川は、その言葉を正面から受け止めるように頷いた。「努力します」「努力では困ります」浜口の声は柔らかかったが、逃げ場はなかった。「取引先は、もうずいぶん待っています。今回こちらから聞きに行ったことで、向こうももう一度だけ話を聞く姿勢を見せてくれたんです。ここで止まったら、本当に次はありません」「分かっています」森川は、ファイルの表紙に指を置いた。「浜口さんが残してくれたものを、無駄にはしません」その言葉に、浜口はすぐには返事をしなかった。無駄にはしない。その言葉を、久世物産の中で何度聞いただろうと思った。
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89.株式会社リブランシュ

机の上に並んだ書類の厚みは、開業届を出した頃とはまるで違っていた。あの時、美緒が整えたのは、自分ひとりが立つためのものだった。屋号。開業届。名刺。請求書のテンプレート。小さな事業用口座。最初の案件ファイル。それらは、久世家を出た美緒が、篠原美緒として仕事を始めるための書類だった。今、机の上にあるものは違う。小野寺製菓の継続契約書。久世物産の支援契約書。商工会経由の相談予定表。銀行担当者から届いた紹介候補リスト。新規食品メーカーの初回相談メモ。藤崎との業務委託契約案。浜口との契約案。税理士から届いた法人化資料。真帆の法律事務所から送られてきた法務メモ。ひとつひとつは、仕事が増えた証だった。けれど、重ねて見ると、それは単なる成功の印ではなかった。案件がある。取引先がある。仲間がいる。継続契約がある。銀行や商工会からの期待がある。それらを、いつまでも美緒ひとりの屋号の中に収めておくことはできない。リブランシュという名前は、もう美緒の机の上だけにある小さな看板ではなくなっていた。美緒は、税理士から届いた資料を開いた。法人化の流れ。設立費用。資本金。役員構成。定款。登記。社会保険。税務処理。法人名義の銀行口座。契約主体の変更。文字はどれも事務的だった。だが、その事務的な文字の一つひとつが、これから美緒が引き受けるものを示しているように見えた。会社にする。その言葉は、思っていたより重かった。美緒は、しばらく画面を見つめたあと、真帆へ連絡を入れた。「法人化の件、相談したいです」返信はすぐに来た。「資料を持ってきてください。契約と責任から整理しましょう」
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90.鷹宮の隣で

法人化に向けた書類を進めた日の夜、美緒は鷹宮と約束した小さなレストランへ向かった。駅前の大通りから一本入った場所にある、静かな店だった。大きな看板はなく、入口のガラス越しに、温かな照明と木目のテーブルが見える。華やかすぎず、かといって気取ってもいない。仕事帰りの人が、少しだけ肩の力を抜いて座れるような場所だった。美緒は店の前で一度立ち止まり、鞄の持ち手を握り直した。中には、法人化関係の控えが入っている。株式会社リブランシュ。代表取締役、篠原美緒。その文字は、紙の上ではすでに形になっていた。けれど、美緒の中ではまだ少し大きすぎた。鞄の中にあるだけで、紙の束がいつもより重く感じられる。店に入ると、奥の席に鷹宮がいた。黒に近いグレーのスーツに、薄いブルーのシャツ。ネクタイは外していたが、姿勢はいつも通り整っていた。美緒に気づくと、彼は立ち上がった。「お疲れさまでした」最初に言ったのは、それだけだった。おめでとうございます、ではなかった。よく頑張りましたね、でもなかった。そのことに、美緒は少しだけ救われた。「ありがとうございます」席に着き、鞄を椅子の横に置く。「まだ、終わったというより、始まってしまった感じです」美緒がそう言うと、鷹宮は静かに頷いた。「会社は、作った日より、その後の方が長いですから」その言葉に、美緒は思わず小さく笑った。「現実的ですね」「そういうものです」鷹宮も、少しだけ口元を緩めた。祝杯というには、まだ早かった。美緒の中にあったのは、達成感よりも、始まってしまったという静かな重さだった。温かいお茶が運ばれてくる。白い湯気が、テーブルの上でゆっくり揺れた。美緒は両手でカップを包み、しばらくその温かさを感じていた。「藤崎さんと浜口さんを迎えること。法人化すること。小野寺製菓の継続支援。久世物産の再建
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