※ 学校から少し歩いた駅前。渚が足を止めたのは、大きなガラス窓から温かな光が漏れる一軒のカフェだった。 自動ドアをくぐり、一歩足を踏み入れた瞬間に広がる甘い香りと、パステルカラーを基調としたお洒落な内装。指示された席へと向かい、椅子に座る前に、渚は首元に巻かれていたマフラーをゆっくりと解き、分厚いコートを脱いだ。 コートの下から現れたのは、ゆったりとしたシルエットの黄色のタートルネックニットだった。 少しオーバーサイズ気味の柔らかな編み目が、彼女の華奢な身体を優しく包み込んでいる。暖かみのある鮮やかな黄色が、渚の白い肌によく映えていた。制服の時には分からなかった、女の子らしい私服のディテールを目の当たりにして、玲の胸は甘く脈打つ。 同時に、店内の様子に玲は目を丸くした。 見渡す限り、店内の客席を埋め尽くしているのは自分と同世代かそれ以上の女性ばかりだった。男の姿は、店員の他にはどこにも見当たらない。文字通り、完全に男性は玲一人きりだった。 「ここ、いちど、来たかったの……」 渚が小声でそう呟く。 渚が行きたかった場所なら、玲にとっては周囲が女だらけだろうが何だろうが、全く気にならなかった。それに、不思議と、玲はその場から浮かなかった。 店員に案内されたのは、少し広めの四名掛けのテーブル席だった。 玲としては、できることなら二名掛けのテーブルで、もっと近い正面に座りたかった。けれど、案内されるや否や、渚は玲の正面を避けるようにして、すっと斜め前の席に腰を下ろしてしまった。 (……やっぱり、正面はダメか) あからさまに距離を置かれたことに、玲は内心で少しだけ落ち込む。せっかくマフラーとコートを脱いだ彼女の姿を近くで見られると思ったのに。それでも、こうして同じテーブルを囲めているのだからと、玲はすぐに気持ちを切り替えた。 何より、メニュー表を開いて「美味しそう……」と嬉しそうに頬を綻ばせる渚の姿を見られただけで、玲の胸の奥は満足感でいっぱいになる。 メニューにはパフェなどのスイーツだけでなく、軽食も充実しているらしく、渚はトマトソースのパスタを注文した。 やがて運ばれてきた湯気
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