一度言葉にしてしまえば、あとは勢いよく言葉を紡ぐことができた。「俺の彼女になってください。これから先もずっと、渚と一緒にいたい」 玲の瞳は、渚を映し込んでいたからこそ――彼女に訪れた微小な変化が、誰よりも痛いほどに分かってしまった。 渚の顔が、まるで酷い痛みに耐えるかのように苦しそうに歪んでいく。その唇は、血の気が失せて白く染まるまで強く噛み締められた。 喉が小さく震え、マフラーに埋まった唇が僅かに開いて、ひゅっと冷たい息が漏れ出る。 この口から紡がれるであろう次の言葉を、聞きたくない、絶対に聞いては駄目だと脳が拒絶を叫ぶ。 だが、その拒否の言葉を玲は絞り出すことができなかった。「ごめんね」 無情にも、静かな声が冬の空気を震わせた。「玲とは付き合えない」 渚が目の前にいるはずなのに、歪んだ視界の中で上手く捉えることが出来ずにいた。「私たち、会うのやめよう」 世界が反転するような衝撃のなかで、玲が強く握り締めていたはずの渚の手が、ゆっくりと離れようとする。 離したくない。絶対に離してなるものか。 そう強く願って、指先に力を込めたはずだった。それなのに、どうしてか自分の身体ではないように全く力が入らず、渚の華奢な手は、玲の指の間から驚くほど簡単に、するりと離れていってしまった。 気付けば、玲は一人だった。辺りは暗く、外灯が心細く彼の足元を照らしている。 渚の手を握っていた指先は、体温が失われたかのように冷たく、渚からもらったチョコレートだけが唯一、玲を今世に繋ぎ止めていた。(これで、終わりなのか……?)「本当に?」 掠れた呟きが、冷え切った暗闇に虚しく溶けていく。 来年もチョコを渡すと言ってくれた、その口で、「会うのをやめよう」と告げられた。そんな残酷な矛盾が、どうしても現実のものとして受け入れられない。 あそこで告白しなければ、来年の今日、また渚からチョコを貰っていたはずの未来を、自分は自らの手で粉々に壊してしまった。渚も俺と同じ気持ちだという慢心さえ抱かなければ、彼女の
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