「恐怖で黙らせるのは簡単だけど、失声症になれば誰だって心配する。医者に行けばストレスが原因だと診断されるだろうしね。最初は本田くんも隠すだろうね。けど、親はしつこく聞くはずだ。そうなったらいつ話すか分からない。だから口封じで殺した」「証拠はあるんですか?」 ここまで言われても、将馬の余裕は消えない。むしろ、楽しんでいるようにさえ見える。「あるよ」 再びパソコンを操作し、動画を再生する。今度は倉田書店で正孝をいじめている映像だ。動画の正孝をバカにする言葉に腹を立てるのと同時に、もう将馬の逃げ場はないと、少しホッとする。「……確かに、僕は正孝をいじめてました。けど、殺してません」「あなたねぇ!」 尚も言い逃れをしようとする将馬に義憤を感じ、千夏が声を荒らげると、成也は振り返ってにっこり笑う。「先生、大丈夫だから」「何が大丈夫なんですか」「いいからいいから」 成也がなだめるように言いながら手を握ると、少し落ち着いた。(感情的になってはいけない。正孝くんの無念を晴らすために、我慢、我慢) 心の中で言い聞かせて息を整えると、千夏は頷いた。成也は頷き返すと、再び将馬と向き合った。「痴話喧嘩は終わりましたか?」「そんなに仲睦まじく見えるなら嬉しいなぁ。さて、話を戻そうか」 成也の軽口に、千夏は彼の背中を小突いた。だが効果はイマイチだったらしく、彼は微動だにしない。「そうそう、本田くんの遺体を調べたら、爪に皮膚片が残ってたって。きっと自分を縛り付けて放置しようとした犯人を、どうにかして止めようとしたんだね」(え?) 成也の言葉に、千夏は愕然とし、思わず声を上げそうになった。弘泰から遺体の解剖結果を聞いたが、足に圧迫痕があったことと、プールに沈んでいた縄跳びと一致することしか聞いていない。 つまり、ハッタリだ。「そのシャツ、新品だよね。なんでそんなにブカブカなの着てるわけ? 君みたいな完璧主義者の優等生が、ダボダボファッションを好むとは思えないんだけど」「それは……っ、そんなことより、どうして犯人は正孝の足を縛って、その場に放置したんですか? それじゃあプールに落ちない可能性だってあったじゃないですか。それに、僕は正孝が死んだショックで、うっかり万引きをしてしまったんですよ? そんな僕が、正孝を殺すなんて……」 平静を装うとする将馬だが
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