夢の世界に入ると、いつもの青白い空間に、あの女性が立っていた。「少し、面倒なことになっているようです」「面倒?」女性は複雑そうな表情を浮かべた。「どうやら、あなた方二人以外にこの世界に立ち入った者が…」「しかも、たった今」「!」黎慈は椅子から即座に立ち上がった。「どこにだ! 教えてくれ!」「一旦冷静にお願いします。先程、お連れ様にも話をしておきましたが…」「まぁ、私の話も聞かずに飛び出して行きましたけど」黎慈は深呼吸をして、再び椅子に腰を下ろした。「ただ……」「ただ?」女性は一呼吸置き、静かに続けた。「この話は、我々にとって悪い話という訳でもないようです」「どういうことだ?」「どうやら、我々以外の部外者がこの世界に立ち入ると、夢の力が収まるようです」「弱まるとどうなるんだ?」女性は少し考え込んだ後、自分の見解を述べた。「おそらくですが、ご自身のブラムの限界を超えて使用できるようになるかと」「ただ、それなりのリスクもあるようですが……」「リスク?」「言っていなかったのですが、ブラムは自身の精神を削って発動させているんです」「そういう経験、最近ありませんでしたか?」言われてみれば、最近疲れやすくなった気がする。衣百合からも目の下の隈を指摘されていた。「自身の精神をさらに削り、人知を超えた力を発揮できる」「もしかしたら、この世界を丸ごと消滅させられるような力も……」「そんな力が……」黎慈は自分の手の平を見つめた。「ただ、物凄い代償が付いてきます」「最悪、夢から目覚めることができなくなる可能性も否定できません」二人はしばらく黙り込んだ。黎慈が静かに聞いた。「ところで、なんで弱まるんだ?」「この世界は、誰もが持っている第二の世界なんです」「所謂、パラレルワールドのような類として考えてもらって構いません」「現実に実際に生きている人は、ここでも等しく生きています」「意識しているかどうかの問題です」黎慈は俯いて考え込んだ。「……理解し難い話だな」「重々承知の上でお話ししています」重たい沈黙が流れた後、女性は続けた。「誰かがこの世界を『現実』として認識する」「つまり、認知されると、夢全体の力が弱まるようです」「認知されると、あの化け物に襲われるんじゃないか」「……おそらくは」黎慈はその
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