魂を抜かれたような智久の姿を見て、美琴は微かな不安を覚えた。不快感を必死に抑え込み、歩み寄って優しい声で語りかける。「丸一日も立ちっぱなしじゃない。もう待つのはやめましょう。捜索隊も撤収したし、航空会社の発表もあったわ。明純はもう死んだのよ。遺体が見つからないなら、せめて家から遺品を探して供養してあげましょう。一緒に帰りましょう?」しばらく沈黙した後、智久は無理に心を落ち着かせた。頷くと車に乗り込み、家へと戻る。玄関の扉を開けると、目を赤くした使用人たちが集まってきた。信じられないといった様子で悲しみに暮れ、震える声で口々に訴えかけてくる。「旦那様、奥様は本当に……?あんなに良い方だったのに、どうしてこんなことに……」「ニュースを見ても信じられません。どうして突然墜落だなんて」「旦那様、何か仰ってください」口々に訴えかけ、ついには涙を流し始めた。使用人たちが明純を深く慕っているのを目の当たりにし、美琴の胸の奥に言い知れぬ嫉妬が湧き上がる。この家に自分が住むようになったら、こいつらは全員追い出して自分の息のかかった者に入れ替えようと、密かに心に誓った。わざとらしく咳払いをし、苛立たしげな口調で告げる。「もう泣くのはやめなさい。遺骨は見つからなかったけど、お葬式はしてあげるのよ。式で使うあの子の遺品を探しに戻ってきたんだから、手伝いなさい」使用人たちは涙を拭うと、頷いて屋敷のあちこちへ散らばっていく。だが一回り探しても、めぼしいものは何も見つからなかった。智久は眉をひそめ、怪訝そうな顔をする。「どうして見つからないんだ?明純の荷物は?」年嵩の使用人が涙を拭い、沈痛な声で答えた。「奥様はこの家に嫁いでから、すべてを旦那様のために費やしておられました。奥様の持ち物は、ほとんど旦那様に関するものばかりで……」智久ははっとして、言い知れぬ切なさが胸に込み上げてくる。「……どういう意味だ?」使用人はため息をつき、明純の日常を語り始めた。「奥様は、旦那様が偏食で朝が早いとご存知だったので、毎日六時に起きて朝食を作り、献立も毎日変えておられました。旦那様がお出かけになった後は服にアイロンをかけ、しわ一つないように気を配り……旦那様がよく眠れないと知ると、アロマを学んで毎晩お部屋で焚き、少し
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