「膣を広げる手術は、受けられますか。夫のものが、その……大きくて。少し、つらいんです」目の前にいる患者は、愛らしい顔立ちをしていた。私、香取星乃(かとり ほしの)は少し面食らった。手術を希望して診察に来る患者は少なくない。けれど、その多くは膣縮小術か、処女膜再生手術を望んでいる。自分から膣拡張術を受けたいと言い出す患者は、めったにいない。問診を終え、私は彼女を診察した。狭窄気味ではある。けれど、手術を勧めるほどではなかった。一度考え直してみてはどうかと伝えると、彼女は首を横に振った。「夫のものが……本当に大きいんです。それに、私を傷つけるのが怖いみたいで、いつもすごく我慢してくれていて。そんなふうに苦しんでいるところを、見ていたくないんです。先生、できるだけ早く手術をお願いできませんか」その言葉を聞いた瞬間、私は反射的に御堂蓮司(みどう れんじ)のことを思い出した。彼も、その点では驚くほどで、何度か私を傷つけたことがある。頬が熱くなる。私は慌てて余計な考えを振り払い、彼女の手術日を調整することにした。そのとき、不意に診察室のドアが開いた。ひとりの男が、大股で入ってくる。声をかけようとした瞬間、彼女がその胸に飛び込んだ。「あなた!」抱き合う二人を目の前にして、私の身体から少しずつ血の気が引いていく。彼女が口にしていた「あなた」は、私と結婚して二年になる夫でもあった。蓮司は夏目萌々(なつめ もも)を見つめ、きつく眉を寄せた。「秘書が偶然、病院で君を見かけなかったら、俺に黙って手術を受けるつもりだったのか?言っただろう。俺のことなんかどうでもいい。俺のために、自分の体を傷つけるな」萌々は拗ねたような声を出した。「でも、あなたが毎回あんなにつらそうに我慢しているのを見ると、胸が痛いの」蓮司はそっと萌々の頬に触れた。その声は、信じられないほど優しかった。「ばかだな。萌々がそばにいてくれるだけで、俺はもう十分だ。そんな欲なんて、君に比べれば何の意味もない。一生我慢したっていい」萌々は感極まって涙をこぼした。二人は、周囲など目に入っていない様子で愛を確かめ合っていた。蓮司の目には萌々しか映っていない。私がそこにいることにさえ、気づいていなかった。私はその
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