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第4話

Author: ニノマエエヅキ
蓮司が萌々を愛しているのは、確かだった。だからこそ、あそこまでして私を苦しめたのだ。

もう嫌というほど思い知らされていたはずなのに、それでも胸はひどく痛んだ。

「星乃、これが不倫女の末路よ」

萌々は私を見下ろし、その目に軽蔑を滲ませていた。

私は顔を上げ、かすれた声で言った。

「私は御堂蓮司と正式に結婚した妻よ。不倫女はあなたのほうでしょう」

萌々の顔に、一瞬怒りが走った。けれどすぐに、彼女は笑った。

「まさか、知らなかったの?

蓮司はとっくにあなたと離婚しているの。戸籍上の妻は、今は私。

それに蓮司が言っていたわ。あなたは、欲を処理するためだけの相手にすぎないって」

信じられない思いで、萌々を見つめた。

頭の中が真っ白になる。

離婚している。

欲を処理するためだけの相手。

「蓮司が本当にあなたを愛しているとでも思っていたの?私を傷つけたくないから、そういう欲を片づけるために、あなたをそばに置いていただけよ。

星乃、あなたって本当にみじめね」

私は不意に笑い出した。けれど、熱い涙が頬を伝って落ちていく。

真実は、想像していたよりずっと惨めだった。

彼が毎日のように私を求めてきたことを、私は愛だと思っていた。

けれど実際は、別の女への愛だった。

笑い声はどんどん大きくなり、胸の奥が震えて痛んだ。

萌々は眉をひそめ、二歩ほど後ずさった。

「気でも狂ったの?」

私は赤く充血した目で彼女を見つめ、不意に口を開いた。

「私がただの遊び相手だっていうなら、あなたは何を怖がっているの?」

萌々の目が大きく揺れた。次の瞬間、図星を突かれた怒りが顔に浮かぶ。

彼女は尖った爪で、私の傷口を容赦なく突いた。

「私があなたを怖がっていると思う?教えてあげる。蓮司があなたなんかに心を奪われることは、絶対にない。

それに、あなたにほんの少しの隙だって与えるつもりはないわ!」

そう言い終えると、萌々は人に命じて私を引きずらせた。

「離して!どこへ連れていくの……」

私は必死にもがいたが、傷だらけの体に残った力ではどうにもならない。

どれくらい時間が経ったのか、わからない。

気づいたとき、私は口に布を詰められ、手術台に縛りつけられていた。

一枚のカーテンを隔てた向こう側に、萌々と蓮司がいる。

萌々は涙を流し、声を詰まらせていた。

「蓮司、まだ下が痛いの。ううっ……私のこと、嫌いにならない?

あんなに大事なところをほかの人に見られたのよ。もう生きていたくない」

蓮司は萌々の頬を撫でた。その声は、私が聞いたこともないほど優しかった。

「嫌いになるわけないだろ。愛しても愛し足りないくらいだ。

目にするのは医者だけ、医者は患者を、男か女かで見たりしない」

萌々は彼の胸に飛び込んだ。

「嫌。医師でも嫌なの!」

「じゃあ、どうしたい?星乃は留置場に入れて、君の気を晴らしてやった。それでも足りないのか?」

「足りない」

萌々は涙を浮かべた目で、蓮司を見上げた。

蓮司は彼女に口づけながら、何でもないことのように言った。

「それなら、星乃を人体モデルにして、人体実験に使わせればいい」

萌々はもう何も言わなかった。

けれど私は、はっと目を見開いた。

必死に声を出そうとしても、口を塞がれていて何も言えない。

ほどなくして、十数人の研修医が連れてこられた。

私の服も、一枚残らず剥ぎ取られる。

そして、尊厳などかけらもない姿勢で固定された。

その場に、ごくりと唾を飲む音が響いた。

強烈な羞恥が、津波のように押し寄せてくる。

そのとき、隣から荒い息遣いが聞こえた。

「蓮司、私の修復手術、ちゃんとできているか試してみて」

甘く湿った声が、絶えず耳に流れ込んでくる。

蓮司の押し殺した荒い吐息は、鋭い刃物のように私の心臓を突き刺した。

次の瞬間、冷たい器具が体の中に入ってきた。

「んっ!」

震えを抑えられず、涙が目尻を伝って落ちていく。

「蓮司、すごい……ねえ、私のほうがあなたを満たせる?それとも、彼女?」

蓮司の低い声が、はっきりと聞こえてきた。

「当然、君だ。あいつは俺にとって、ラブドールと大して変わらない」

心は、完全に引き裂かれた。

隣の声はますます大きくなり、部屋の熱もじわじわと上がっていく。

誰かがたまらずボタンを外した。

「俺たちも、膣拡張器の効果を試してみようか」

どれほど時間が過ぎたのか、もうわからない。涙はとっくに枯れ果てていた。

私は壊れた人形のように手術台の上に放り出され、下には赤い血が広がっていた。

蓮司は萌々を寝かしつけたあと、外へ出て煙草に火をつけた。

同時に、どこかへ電話をかける。

「星乃は家に連れて帰ったか?」

助手は二秒ほどためらってから、声を返した。

「奥様は……病院へ連れていかれたのではないのですか?」

蓮司は眉をひそめた。

そのとき、少し離れた場所から研修医たちの話し声が聞こえてきた。

「さっきの女、かなりよかったな……」

「前はデリケートゾーン専門の医師だったらしいぜ……」

蓮司の胸が、どくんと大きく跳ねた。

彼は振り返り、大股で引き返す。そして勢いよくカーテンを引き開けた。

目の前に広がる光景に、蓮司の瞳が一瞬で大きく見開かれた。

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