メイズ市外。 人間とスケルトンとの戦いはさらに混迷を深めていた。 まず左翼を担当する冒険者による軍。こちらは完全に防戦に徹しており、馬防柵を防衛ラインと決めてそこから打って出ることはない。その甲斐あって戦線を維持できてはいるが、それだけだ。徐々に負傷者も増え、疲労も溜まっている。決壊は時間の問題だろう。 中央。神官戦士団は防柵を放棄して突出していた。このままではジリ貧で削りきられると判断し、攻勢に打って出たのだ。スケルトンの大群を操っている死霊術師を討ち取ることが目的だ。作戦の狙いはサイラスの考えと同じものだったが、正面からそれを実行しようとしている点が大きく異なる。<戦の歌>の奇跡により士気は保たれており、不死者に有効な聖別された武器も揃えている。スケルトンを次々に蹴散らしているが、突撃の勢いは少しずつ衰えていた。敵中を無理やり貫こうとしているのだ。いかに精強を誇る神官戦士団と言えど、傷や疲労と無縁ではないのだ。 そして右翼。領兵軍の戦線はほとんど崩壊していた。防柵はすでに破られ、残骸を踏み越えて白骨の群れが進む。領兵たちもよく戦ってはいるが、戦列が完全に崩れてしまったため、応戦は散発的なものとなってしまっていた。ひとり、またひとりと倒れていく。 デュラハンの右手が上がった。人間の背骨から作られた鞭が領兵軍の方を指す。デュラハンの周囲を固めていた予備兵力がそちらへ向かって殺到する。領兵軍を崩せば回り込んで神官戦士団の背後を突くことも、城壁の攻略にかかることも可能だ。ここが勝機と見て、一気に決着をつけようと考えたのだろう。「ようやくチャンスだな」 伏せていたサイラスがつぶやく。デュラハンの周辺の囲みが明らかに薄くなり、その姿が目視できるようになっていた。「仕掛けますか?」「ああ、頼む。派手にやってくれ」 オドゥオールは立ち上がり、古代語の詠唱を開始した。長杖に青白い電光が絡みつく。幾重にも、幾重にも、蛇の群れの如く。明滅する電光に気がついたのか、デュラハンが上半身をこちらに向けた。「<大渦雷>!」 それと同時に、オドゥオールの手から雷球が放たれる。バチバチと空気を焦がしながらデュラハンに向かって直進する。あわや直撃か。その寸前でデュラハンの鞭がうなり、手近なスケルトンを捕えて雷球に向かって投げつけた。 閃光。轟音。大
Última actualización : 2026-07-13 Leer más