Share

第240話

Author: クレヨンまるこ
咲夜は手早くシャワーを浴びると、登山に適したスポーツウェアに着替えた。

髪をお団子にまとめ、時間を確認する。

階下に降りると、すでに千雪が来ていた。

手には保温容器を提げている。「朝ごはんです。私が作りました」

そう言って笑う千雪に、咲夜はキッチンに向かい、食器と箸を二人分用意した。

千雪は保温容器の蓋を開ける。

中には鶏肉の雑炊、それから肉まんが入っていた。

たちまち食欲をそそる香りが広がる。

咲夜は箸と器の一組を千雪に差し出した。「一緒に食べよう」

急いで来たせいで、千雪もまだ朝食を済ませていなかった。

「ありがとうございます」彼女は受け取ると、咲夜の向かいに腰を下ろした。

温かい雑炊を口に運び、肉まんを頬張る。

咲夜の顔には自然と満足そうな笑みが浮かんだ。「おいしい!やっぱり小林さんの料理、本当に上手だよね」

以前にも何度か千雪の手料理を食べたことがある。

そのたびに驚かされていた。

思わず親指を立てて褒める。

千雪は照れくさそうに笑った。

もともと派手な趣味はない。

外出もあまり好きではなく、家で本を読んだり料理を研究したりする時間を好んでい
Continue to read this book for free
Scan code to download App
Locked Chapter

Latest chapter

  • 元カレの宿敵の腕で幸せになります!   第240話

    咲夜は手早くシャワーを浴びると、登山に適したスポーツウェアに着替えた。髪をお団子にまとめ、時間を確認する。階下に降りると、すでに千雪が来ていた。手には保温容器を提げている。「朝ごはんです。私が作りました」そう言って笑う千雪に、咲夜はキッチンに向かい、食器と箸を二人分用意した。千雪は保温容器の蓋を開ける。中には鶏肉の雑炊、それから肉まんが入っていた。たちまち食欲をそそる香りが広がる。咲夜は箸と器の一組を千雪に差し出した。「一緒に食べよう」急いで来たせいで、千雪もまだ朝食を済ませていなかった。「ありがとうございます」彼女は受け取ると、咲夜の向かいに腰を下ろした。温かい雑炊を口に運び、肉まんを頬張る。咲夜の顔には自然と満足そうな笑みが浮かんだ。「おいしい!やっぱり小林さんの料理、本当に上手だよね」以前にも何度か千雪の手料理を食べたことがある。そのたびに驚かされていた。思わず親指を立てて褒める。千雪は照れくさそうに笑った。もともと派手な趣味はない。外出もあまり好きではなく、家で本を読んだり料理を研究したりする時間を好んでいる。引っ越したばかりの家も、ほかの部屋は簡素な内装だったが、キッチンだけは本格的な調理器具で埋め尽くされていた。そんな千雪にとって、料理は大切な趣味のひとつだった。あまりにも褒められるものだから、千雪は少し居心地が悪そうだった。朝食を済ませると、咲夜は千雪を連れて車で白麗山に向かった。移動中、千雪が状況を報告する。「花江さん、『千野千鶴』については本当に何も情報がありません。どうやって探しましょうか?」現時点で分かっているのは、男性であることと、地元出身らしいことだけだった。それ以外はまったく不明。本気で探そうとすれば、まさに海で針を探すような話だった。白麗山は標高もそれなりに高い。さらに明覚寺は山の上に建っていた。観光用のシャトルバスも運行しているが、行けるのは中腹まで。参拝者の誠意を示すため、中腹から先は自分の足で登らなければならない。自家用車も中腹の駐車場までしか入れない。山麓から徒歩で登れば約三時間。中腹からでも二時間以上かかる。咲夜は千雪に安心させるような笑顔を向けた。「見つかっても見つからなくても気にしなく

  • 元カレの宿敵の腕で幸せになります!   第239話

    千暁は咲夜の気持ちを察したのか、気にした様子もなく言った。「実家にはまだチューリップがたくさんあるんだ。好きなら毎日でも届けるよ」このところ咲夜のために、彼は荻野家の本邸を離れて暮らしていた。以前、本邸に住んでいた頃は、庭のチューリップはすべて自分の手で世話をしていた。水やりも剪定も、人任せにしたことはない。だが今は月見台で暮らしているため、その花々の管理は祖父母が代わりに引き受けてくれている。咲夜はくすりと笑った。「それなら今度、実際に見に行ったほうが早いんじゃない?」言い終えた瞬間、自分でも目を瞬かせる。――あれ?どうして私、こんな自然に荻野家に行きたいなんて言ったんだろう。もし向こうに歓迎されなかったらどうするのだろう。そんなことを考えている咲夜とは対照的に、千暁は内心で歓喜していた。本音を言えば、今すぐにでも咲夜を実家に連れて帰りたい。だから彼女の言葉を聞いた瞬間、迷うことなく頷いた。「もちろん。君の都合がいい時ならいつでも。家のみんなも歓迎するよ」その言葉に、今度は咲夜のほうが少し照れてしまった。「じゃあ、そのうち改めてご挨拶に伺うね」そう言いながら、ふと思い出す。以前、千暁が自分に入籍しようと持ちかけた理由。確か、家族からかなり結婚を急かされているのだった。瞳からも何度か同じ話を聞いている。そんなことを考えながら、二人は海辺を後にした。……咲夜は写真を何枚か選び、SNSに投稿した。添えた文章はシンプルだった。【海から昇る朝日。紅霞は鮮やかに空を染め、黄金の光が海と空をひとつに結ぶ。】投稿を終えると、彼女は千暁に振り返る。「帰ろうか」「うん」千暁は静かにその後を追った。月見台に戻った頃には、詩乃はすでに外出していた。瞳も出勤した後だった。その直後、千暁のスマホが鳴る。電話に出た彼は、咲夜に一声かけてから帰っていった。咲夜はソファに腰を下ろし、スマホを開く。すると投稿したばかりのSNSには、すでにコメントが並んでいた。【@シノ】【朝から姿が見えないと思ったら、日の出を見に行ってたのね。景色も綺麗だけど、咲夜さんの方がもっと綺麗よ】【@hitomi】【海行ったの!?一人で!? ……いや待って、それは絶対違うでしょ!?三枚目の写真に写ってる

  • 元カレの宿敵の腕で幸せになります!   第238話

    写真の中で、咲夜は甘く柔らかな笑みを浮かべていた。そして、その隣には彼女を見つめる千暁の姿があった。千暁はその写真を眺め、満足そうに保存ボタンを押す。その様子に気づいた咲夜が、あっさりと言った。「だったら、もう何枚かツーショット撮る?」そう言うなり彼女は千暁のスマホを取り上げ、二人に向けて連写を始めた。ひとしきり撮り終えると、咲夜はスマホを返した。「あとで送ってね」そう言って彼女はアルバムを覗こうとしなかった。スマホの中身は個人的なものだ。どれだけ親しくても、勝手に見るべきではない。そのあたりの距離感はきちんとわきまえている。千暁は頷き、その場で撮った写真をすべて咲夜に送信した。もちろん、二人のツーショットも含めて。咲夜は送られてきた写真をタップして全画面表示にし、一枚ずつ眺めていった。正直なところ、千暁の写真の腕前はかなりのものだった。だがその時、彼女の指がぴたりと止まった。思わず表情が固まる。送られてきた写真の中に、一枚だけ違う写真が紛れ込んでいたのだ。それは大学の卒業式の日に撮られた写真だった。当時の咲夜は、大きなピンクのチューリップの花束を抱え、カメラに向かって満面の笑みを浮かべている。そして写真の隅には、小さくではあるが、千暁の姿も写っていた。咲夜は何かを思い出したように顔を上げた。「もしかして……」そして千暁を見つめる。「卒業式の日のあの花束って、あなたがくれたの?それに、卒業式にも来てたの?」咲夜は昔からチューリップが好きだった。品種を問わず、チューリップなら何でも好きだった。あの日も、その花束を当然のように晴南からの贈り物だと思い込んでいた。大事そうに胸に抱きしめて帰り、家に着いてからも丁寧に世話をしていた。だがずいぶん後になって、その花束は晴南から贈られたものではないと知る。その頃にはすでに、チューリップはドライフラワーに加工されていた。少しでも長くその美しさを残しておきたかったからだ。送り主が晴南ではなかったと知っても、咲夜は花束を捨てなかった。それほど大切な思い出になっていた。一方の千暁は、そこでようやく気づく。卒業式の写真まで一緒に送ってしまっていたことに。咲夜の視線を受け、彼は静かに頷いた。「……ああ、俺だ」

  • 元カレの宿敵の腕で幸せになります!   第237話

    千暁はそこで一度言葉を切った。「ただ、自分にもひとつくらいチャンスがあっていいと思うんだ。今は新しい恋愛を始める気になれなくても構わない。でも、もしまた誰かを好きになりたいと思った時は、真っ先に俺を候補に入れてくれないか?」千暁としては、せめてその権利くらいは欲しかった。それは決して無茶な願いではないはずだ。一方の咲夜は、その言葉に胸が小さく高鳴るのを感じていた。――もう、本当にずるい。この人、どうしてこんなに言葉の選び方が上手いんだろう。もし今、自分を見つめる千暁の瞳に一片の偽りでもあったなら、きっと「駆け引きなんじゃないか」と疑っていたはずだ。だが、その眼差しにはただ真っ直ぐな誠意しかなかった。だからこそ余計に心が揺れる。咲夜は胸のざわめきを必死に押し隠しながら答えた。「その時になったら……考える」すぐに頷くことはしなかった。恋愛なんて先のことは分からない。最初から期待させて、あとで傷つけるようなことはしたくなかった。そんな彼女の考えを察したのか、千暁はふっと微笑む。「じゃあ、まずは友達からだな」そう言うと、缶ビールを持ち上げて咲夜の方に差し出した。「友情に乾杯」彼なりに、咲夜に余計なプレッシャーを与えないための気遣いだった。咲夜は何も言わず微笑み、そっと缶をぶつける。二人は夜の浜辺で、静かに酒を飲み続けた。一本、また一本と空き缶が増えていく。やがて咲夜は靴を脱ぎ捨て、裸足で砂浜を歩き始めた。少し酔いが回っているのか、その足取りはどこかふらついている。千暁は黙って後ろからついていった。視線はずっと彼女を追い続けている。咲夜は砂浜を駆けたり跳ねたりしながら、楽しそうに笑っていた。その弾むような笑い声を聞いているだけで、千暁の口元も自然と緩む。結局、その笑みが消えることはなかった。しばらくして、咲夜はとうとう疲れたらしい。何の前触れもなく両手を広げ、そのまま砂浜に大の字に倒れ込んだ。千暁は彼女の隣に腰を下ろす。横目で様子をうかがってから、自分も同じように寝転んだ。二人とも何も話さない。ただ静かに満天の星空を見上げていた。やがて咲夜は目を閉じる。そして、そのまま穏やかな寝息を立て始めた。本人も気づいていないだろう。千暁のそばにいる

  • 元カレの宿敵の腕で幸せになります!   第236話

    咲夜の言葉を聞いた千暁は、思わず笑みをこぼした。そう考えると、森崎家は今まで咲夜のことを思いどおりに操れていると思い込んでいたのだろう。だが実際には、咲夜はずっと「弱いふり」をして本心を隠し続けていた。森崎家の連中がこれまで見せていたあの醜い態度を思い出した。もし今の咲夜の本音を知ったら、きっと悔しさのあまり気を失うに違いない。千暁はそんなことを考えながら、隣にいる咲夜を静かに見つめた。その瞳には、かすかな痛ましさが浮かんでいる。自分の視線に気づいたのか、彼女は俯いたまま酒を口に運んだ。どこか逃げるようなその態度を見て、千暁は胸の内を打ち明ける。「俺が好きだと言ったのは、その場の勢いなんかじゃない。咲夜、もし受け入れられないとしても、俺を避けたりしないでほしい。君を困らせるつもりはないんだ」ついに彼は、あの日の告白について本人の前で切り出した。正直なところ、今日一日ずっと咲夜からの返事を待っていた。だが彼女は何も言わないまま。そのせいで、千暁の心にも少なからず焦りが生まれていた。咲夜は小さくため息をつく。――やっぱり、この話になるよね。千暁の視線を受けながら、彼女は小声で答えた。「あなたが恋愛を軽く考える人じゃないってことは分かってる」これまで何年もの間、一度たりとも女性関係の噂が出たことがない。それだけでも、彼がいい加減な人間ではないことは十分伝わっていた。そして彼の告白が本気だったことも、咲夜は信じている。少し考えてから、彼女は続けた。「あなたに告白されて、すごく自信が持てたの。少なくとも、世間で言われているほど私はダメな人間じゃないんだなって思えた。だって、あなたみたいな素敵な人が私を好きになってくれたんだから。きっと私にも、それなりの価値があるんだろうなって」「むしろ感謝してるくらい」咲夜は笑顔のまま千暁を見つめた。「それに、別にあなたを避けるつもりなんてなかったよ」その表情は真剣だった。「告白されたってだけでしょ?別に何かひどいことをされたわけじゃないのに、なんで避けなきゃいけないの?そんな必要ないよ。本当はメッセージも返そうと思ってたの。でも仕事に追われてるうちに忘れちゃって……もしそれで変な誤解をさせたなら、ごめんなさい。本当にそんなつもりじゃなかったの」

  • 元カレの宿敵の腕で幸せになります!   第235話

    静香への嫌がらせや青音への対処はともかく、当事者である晴南だけが何事もなかったかのように済まされるなんて、咲夜には納得できなかった。正直、さっきの袋叩きだってまだ甘いくらいだと思っている。千暁は眉をわずかに上げた。「今日、何かされたのか?」そういえば瞳が、晴南と遭遇した時に咲夜が盛大に啖呵を切ったと言っていた気がする。その時はあまり気に留めていなかった。だが今の様子を見る限り、今夜は相当腹に据えかねることがあったらしい。咲夜は鼻で笑った。「まともな元カレなら、死んだみたいに存在感消しててほしいのよ。それなのにあいつ、自分に酔った後悔男の茶番を延々と演じてるんだから。本当に気持ち悪い。何度言っても聞かないし、罵っても消えないし。犬の方がよっぽど人の言葉を理解できるわよ」本音を言えば、「犬に例えること自体、犬に失礼だ」とすら思っていた。咲夜の話を聞いた千暁の目がわずかに細められる。その瞳の奥を、冷たい光がよぎった。――やはり殴り足りなかったか。もっと本気でやっておくべきだった。咲夜は苛立たしげに口を開いた。「それにね、あのクズ、本当に反省してるわけじゃないの。笑っちゃうでしょ?全部風一おじいさんへのアピールよ。おじいさんの持ってる株を手に入れたいだけ。私と付き合ったのだって、結局は株目当てだったしね。森崎家の計算高さには本当に感心するわ」そう言ってから、彼女は千暁に顔を向けた。「ねえ、どうして森崎英樹があんな回りくどいやり方で花江グループに介入してきたと思う?買収しようと思えばできたはずなのに。それは、もし森崎グループが花江グループを丸ごと飲み込めば、風一おじいさんにも知られることになるから。森崎英樹は花江グループを利用して裏でいろんな汚いことをしてたの。何か問題が起きたら花江グループに責任を押し付けて、自分だけ逃げるつもりだった」だが、その計画は失敗した。咲夜が裏で興一の足を引っ張り続けたからだ。英樹が本格的に動く前に、問題の芽を一つずつ潰していた。千暁は静かに耳を傾ける。時折横目で咲夜を見ながら、ただ彼女の言葉を受け止めていた。咲夜はさらに続ける。「森崎家の連中って、本気で私をバカだと思ってたのよ。私と晴南が結婚しさえすれば、花江グループなんて簡単に手

  • 元カレの宿敵の腕で幸せになります!   第6話

    咲夜が病院を後にして間もなく、真奈美から電話がかかってきた。鳴り続けるスマートフォンを、咲夜は手に取ろうともせず放置したまま、自動的に通話が切れるのを待つ。だが、着信は執拗に繰り返された。出ない限り、母が決して諦めないことなど分かりきっている。結局、咲夜は小さく息をつき、妥協するように通話ボタンを押した。「咲夜、森崎家が資金を引き揚げるって!両家の提携も全部白紙よ。これで満足なの?」電話の向こうから、激情に駆られた真奈美の罵声が飛んできた。これまでどれほど理不尽を押しつけられても耐え続けてきた咲夜が、なぜ今になって意地を張るのか、真奈美には理解できなかったのだ。

  • 元カレの宿敵の腕で幸せになります!   第5話

    晴南も、外の騒がしさにはすでに気づいていた。つい先ほどまで浮かべていた穏やかな笑みは、咲夜の姿を認めた瞬間に凍りつき、その冷ややかな瞳には露骨な不快感と詰問の色が宿る。咲夜はその視線を真正面から受け止めながら、感情を削ぎ落とした無表情のまま、真奈美の背後に静かに立っていた。「晴南さん、うちの咲夜が分からず屋で本当にごめんなさい。ちゃんとお詫びさせようと思って、連れてきたの」真奈美は卑屈な笑みを顔に貼りつけ、機嫌を窺うような声音で言った。そう言いながら、咲夜の背中を突き飛ばすようにして、彼女を晴南の目の前へ押し出す。晴南はただ冷ややかにその様子を眺めるだけで、自分から口を

  • 元カレの宿敵の腕で幸せになります!   第4話

    実家へ向かう帰路の途中、咲夜のスマートフォンに晴南から着信が入った。受話器越しに響いてきたのは、怒りに我を失った彼の声だった。「咲夜、今すぐ病院に来い。這いつくばってでも洸に謝るんだ」背後では、洸のすすり泣く声がかすかに混じっている。想像するまでもない。晴南は洸を不憫に思うあまり、怒りの矛先をすべて自分へ向けようとしているのだ。咲夜は深く考えることもなく、電話口から浴びせられる怒号を無視し、そのまま通話を切った。しかし晴南は執拗だった。すぐさま何度もかけ直してくる。病院へ来て謝罪するまで決して許さない――そんな執念すら感じさせる勢いだった。苛立ちが限界に達した咲夜は

  • 元カレの宿敵の腕で幸せになります!   第3話

    洸は、咲夜が手にしていたコーヒーを奪い取ると、そのまま自分の顔へとぶちまけた。続けざまに、自らの頬を思いきりひっぱたく。華奢な身体は、計算し尽くされた絶妙なタイミングで床へと倒れ込んだ。額がテーブルの角にぶつかり、生温かい液体が視界を滲ませる。「ごめんなさい……私が悪かったわ。晴南さんに付きまとったりして、本当にごめんなさい。私を打って気が済むのなら、いくらでも打って。抵抗なんてしないから」床に座り込んだ洸は、首を振りながら、しゃくり上げるような声で泣き叫んだ。晴南は、かなり離れた場所にいながらも、ダイニングルームの騒ぎを聞きつけていた。慌てて階段を駆け下りた彼の目

More Chapters
Explore and read good novels for free
Free access to a vast number of good novels on GoodNovel app. Download the books you like and read anywhere & anytime.
Read books for free on the app
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status