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第8話

Author: ASAMI
last update publish date: 2026-07-06 07:34:17

目を覚ました瞬間、隣のシーツはすでに冷たくなっていた。

蓮はもう家を出たのだろう。

いつもなら彼が起きる時間に合わせて私が完璧に温度を整えていた部屋も、今朝はどこかよそよそしい。

リビングの廊下ですれ違った時も、蓮は何事もなく家を出て行った。

「おはようも」も「行ってきます」の一言すら、そこにはない。

だけど、傲慢な彼が私を気にかけることなんて、最初からなかった。

ただの無能な道具が、少しばかり不機嫌なだけだろうと思っているに違いない。

蓮が扉を閉めた音を確認すると同時に、私はシャワー室へと向かった。

温かい湯を浴びながら、昨夜、無理やり抱かれた時の蓮の奇妙な違和感を思い出す。

明らかに、様子がおかしかった。

冷徹な蓮が見せた、ほんのわずかな動揺。

何かがあったに違いないと、私の直感が告げていた。

それは、自分がこの神崎家に潜り込んだ真の目的ーー奪われた祖母の形見であるバイオリンを取り戻すという計画に、大きく関わることかもしれない。

シャワーを出た私は、無表情のまま避妊薬を口に含み、水で一気に飲み干した。

蓮との間に結んだ契約の時、私は「あなたのファンだから」と従順な理由を説明してい
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