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第9話 視線の中の自分

Author: 酔夫人
last update publish date: 2026-05-12 11:01:00
社交会は前世と同じように華やかだった。

天井には光量まで計算された巨大なシャンデリアが幾重にも吊るされ、その眩い輝きが磨き上げられた床へ反射している。

床に映る光は波のように揺れ、人々が歩くたびにドレスの裾と靴音がそこへ重なっていく。

香水の甘い香り。

低く抑えられた笑い声。

グラスの触れ合う繊細な音色。

それらすべてが混ざり合い、上流階級特有の“騒がしい静けさ”を作り出していた。

誰も大声を出さない。

だが、そこには確かに無数の感情が渦巻いている。値踏み、探り合い、牽制、打算、嫉妬、媚び。表面だけを見れば優雅な夜会。しかし実態は戦場だった。

·

そんな大広間へ足を踏み入れた瞬間、実花は前世と変わらない残酷さを肌で感じ取った。

「藤宮の令嬢だ」

誰かが小さく呟く。

その声を合図にしたように、多くの視線が一斉に実花へ向けられた。

好奇。

観察。

興味。

成人を迎え、これから本格的に社交界へ姿を見せる藤宮家の一人娘。これまで公の場へほとんど出てこなかった存在だからこそ、その視線には未知への探りが多く含まれていた。

時間が戻ったいま、前世と違って実花の評価はまだ定まり切っていない。だからこそ
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