登入相馬潤(そうま じゅん)は小鳥遊莉亜(たかなし りあ)と恋愛中、人前では高潔な人物を保っているが、家では犬のように尻尾を振って愛する彼女には従順な男だった。 しかし彼と一緒になって二年が経ち、彼が実は秘書と結婚していたことを莉亜は知ったのだった。 そのことが発覚すると、彼はそれが仕方のなかったことだと言うのだ。「莉亜、俺を許してくれないだろうか。君は海外に三年行っていて、俺は一人寂しく一時の衝動で彼女のことを君の代わりだと思っていたんだよ」 莉亜はそんな彼を捨てて、潤の兄と結婚する。 相馬朔也(そうま さくや)は生まれつき潔癖症な男だが、結婚すると莉亜の好みに合わせ、彼女の猫と犬を飼いたいという願いも受け入れた。 「うちにはもう君という猫のような存在がいるんだから、また増えたところで問題はないよ」 莉亜は顔を赤らめた。 そして愛し合う時、彼女がつけた赤い跡は朔也が彼女をからかう時の良いネタにされてしまうのだった。 チャリティーパーティーが開催された夜、莉亜を連れて出席した朔也たちは大きな注目を集めた。 以前は人を近寄らせない高貴なオーラを放っていた潤でさえ、近くから敵意をむき出しにし、陰鬱な表情で幸せそうな二人を見つめるしかなかった。 その様子を見た朔也はボディガードに命令した。「あの鬱々とした暗い男をこの場からつまみ出せ」
查看更多莉亜はその言葉を聞いて、目を見開いて、すぐに朔也の意図を理解した。「さすが、年の功っていうものね」しかし、朔也に不機嫌そうな低い声で「俺が年上だから嫌だって言うのか?」と問われた。莉亜は笑いながらその場を離れ、さっさと自分の部屋に逃げ込んだ。その夜、あるバーで。潤はグラスを手に、嬉しそうな様子で皆に言った。「さあ、久しぶりに会ったんだから、今日は俺のおごりだ!」「おや、相馬さん、今日は太っ腹ですね。最近何か良いことでもあったんですか?」「このところ、相馬さんの会社の株価も上がってるみたいだし、奥さんともますます仲良くなってるって聞きますけど……」「何言ってるんだ、お前、それでも相馬さんと友達だって言えるのか?相馬さんがもうあの女と離婚しようとしてるのを知らないのか」周囲からはすぐにそんなお世辞の言葉が飛び交ってきた。潤はそれを聞くほどに、ますます喜びを抑えきれなかった。今回、自分が証拠を提出した時、弁護士も勝算は大きいと言っていた。しかも、それはすべて莉亜と朔也の浮気の証拠であり、莉亜に一円も渡さず追い出すことができる!かつて莉亜に自分と美琴の関係を暴かれた時は、すべて終わったと思ったものだ。特にその後、莉亜の方から彼との関係を清算しようと申し出てきた時はこの世が終わるんじゃないかと思ったほどだ。しかし、今回は自分が勝訴するに決まっている!そのため、周囲のお世辞に対して、潤は考えもせずに言った。「確かに彼女と別れるよ。しかも、あのバカ女に一円も渡さず追い出してやれるぞ!」明らかに酔いが回っていた。今日は気分が良すぎて、バーに入るなり何杯も飲んでいた。特に、おごると言い出した辺りから、周りがさらに盛り上がり、潤はつい口を滑らせてしまった。その悪友たちは顔を見合わせた。その中の一人が目をぐるりと回し、すぐに名案を思いついて、潤に近づいた。「つまり、彼女には何も渡らない勝算があるってことですか」「当たり前だろう。今回はあいつが俺に対して不誠実な行動を取ったからな。弁護士も、今回の訴訟は俺の勝ちが確実だと言ってた」ここまで言った以上、潤も隠すつもりはなかった。ただし、どうやって莉亜の浮気の証拠を手に入れたかについては、一切口にしなかった。潤が酒を飲む様子を見ながら、隣の男が仲間にささやいた。
美琴はすぐに素直な態度をして答えた。「分かった、分かったから。言う通りにするから」しかし、自分の部屋に戻るなり、美琴は得意げな表情を浮かべていた。長い間待ち望んでいたことが、ついに現実になろうとしている!しかも彼らは、莉亜と朔也の実際に交際している証拠をはっきりと掴んでいる。彼女は携帯を睨みつけ、考えるほどに、以前莉亜にかけられた数々の屈辱を思い出し、必ず仕返ししてやると誓った。数日前のチャリティーオークションで、莉亜が美琴に与えた大きな屈辱は、まだ生々しく記憶に残っている……莉亜はあの時、美琴には何の取り柄もなく、会社をクビになったばかりなのに、司会者として呼び戻されたのは、潤が彼女の若さと美貌を気に入ったからに違いない、とさえ言った。その言葉がずっと美琴の頭の中にこびりついていた。なぜだ?なぜ莉亜は欲しいものを何でも簡単に手に入れられる!自分は会社で長い間、誠実に働いてきた。特に仕事の能力が優れているわけではないが、それでも潤のために多くの問題を解決してきた。それなのに、なぜ莉亜は指一本動かすだけで朔也を味方につけ、あの株主たちの前で直接自分を解雇させることができたのか?自分の経験した多くの出来事を思い返すたびに、美琴の心の底から込み上げてきた悔しさが彼女の思考を奪おうとしていた。彼女は携帯を手に取り、迷わずあるアプリを開き、何かを打っていた。その夜、莉亜は久しく開いていなかったSNSアプリを開いた。目の前に飛び込んできたのは、知り合いかもしれないとお勧めされて出てきたアカウントだ。莉亜は気にせずそれを閉じようとしたが、少し見覚えのあるアカウントが目に入った。莉亜は興味本位でそれをクリックした。しばらく見ただけで、それが美琴のアカウントだと判断できた。なぜなら、そのアカウントにこっそりと恋人とのエピソードを見せびらかしている投稿がいっぱいだったからだ。しかも、美琴のメインに使っているアカウントが慎重にそれを隠している投稿とは対照的に、このこっそりと使っているアカウントの投稿はかなり露骨だった。中には、潤の横顔がはっきりと写った写真も何枚もあった。特徴が明確で、すぐに彼だと分かった。莉亜が下にスクロールするほど、二人の愛を誇示する内容が次々と現れ、以前に自分が調査していなか
莉亜が突然こんなに多く反論してくるため、向こうの潤は明らかにまだ反応できずにいた。彼が莉亜の言っている内容を理解した時には、顔色はさらに悪くなっていた。莉亜は、暗くなった潤の顔を見て、自分もこれ以上話す気が失せた。潤が口を開く前に、莉亜はさらに続けた。「私が早く別れたいのは事実だけど、あなたも同じでしょ?生田さんはもう妊娠してるんだから、毎日あなたに早く私と別れろ、自分こそが本当の相馬夫人だとみんなに紹介しろってせがんでるんじゃないの?」莉亜は語れば語るほど、その口調は皮肉に満ちていった。その言葉を聞いて、潤の顔色はもう言葉で形容できないほど悪くなった確かに、このところ美琴はずっと潤に早く莉亜との関係を清算しろと催促していた。実のところ、潤は乗り気ではなかった。こうして莉亜と別れて、しかも財産の大部分を奪われるなんて、潤には到底納得できなかった!しかし、そうしなければどうなるというのか?目の前で莉亜がますます図に乗る様子を見せられ、先ほど心に湧いた疑念もすべて打ち消されてしまった。どうやら莉亜は、追い詰められないと弱さを見せないつもりでいるようだ!「分かった、そこまで法律を通じたいなら、望み通りにしてやろう」潤は否定するのも面倒になり、そのまま立ち去ろうとした。しかし莉亜は逃さなかった。「私にあなたの小賢しい企みや本性を見破られて、今は怒り狂ってるんじゃないの?本当に言うとおりにできるならいいけど、こそこそと資産を移したりしないでよ。前回も言ったけど、そんなずる賢い真似はしないで!」莉亜の言葉に、潤はサッと振り返った。「安心しろ。どんなことがあっても、この件に関してはお前に妥協も譲りもしない!」そう言い捨てて、そのまま立ち去った。莉亜はその場に座ったまま、淡々とした様子で目の前のカップを手で包み込んだ。だから最初から分かっていた。この男とは会うべきじゃなかった。彼は自分が言い負かされると、いつもあれこれ理由をつけてくる。潤の様々な反応から、莉亜は彼がおそらく自分との関係を修復するのを諦めているだろうと気付いた。今の潤は、まるで絶望した男のように見えた。おそらく頭の中は、どうやって最大限に資産を移し、莉亜と別れる時、より多くの利益を引き出すかでいっぱいだろう。どうやら帰
潤は冷ややかに莉亜のほうを見つめた。「俺たちはまだ正式にこの関係を清算していない。このタイミングで証拠を提出して訴訟を起こせば、俺に有利になるのは分かっているな?」少なくとも、自分と美琴はこれまでうまく隠し通してきた。莉亜は決定的な証拠を何も出していない。弁護士の話では、もし自分が朔也と莉亜の写真を提出すれば、形勢を逆転できるかもしれないという。莉亜は無頓着な様子で、目の前の紅茶が入ったカップを両手で包み込み、のんびりとした口調で言った。「どうしても法的な手段を取りたいなら、勝手にすればいいわ。私は別に構わないから」潤はたちまち怒りを募らせた。「今やお前が俺に対して不誠実な事をしたんだぞ。それなのに、その当然のような態度は何だ!言っておくが、明日にでも法的な手段を取ってやるぞ!」莉亜は依然として座ったままで、落ち着き払った態度は微塵も変わらなかった。「私の答えはさっきと同じよ。勝手にしなさい」莉亜があまりにもあっさりと承諾したことで、潤は逆に躊躇し始めた。このところ次々と起きる出来事が、莉亜はそんなに単純な女ではないと、はっきりと証明している。この件には、何か罠があるのではないか?潤は考えれば考えるほど焦り、あらかじめ用意しておいた賠償金の契約書を取り出し、長い間莉亜を見つめた後、結局それを差し出した。「実はその賠償金を少し減らしても、お前にとってもそれほど大きな損失にはならない。一度見てから決めてもいい」彼は用意した書類を差し出した。白紙に黒々と記された文字を一目見て、莉亜はほとんど迷うことなく言った。「それは持って帰りなさい。あなたが自ら決めた契約書の内容なんて、私にとっては間違いなくメリットが少ないものよ」見るまでもなく、潤が価値のある資産の大半を自分の名義に書き換えていることは明らかだった。「あなたの性格からすると、今頃は私に一円も渡さず追い出したくて仕方ないんでしょ。私に多くの財産を残そうとするわけないでしょ?」莉亜にそう言われて、潤は慌てた。「デタラメを言うな!俺は自分の手で稼いだものをいくつか取っただけだ。例えば会社の株式とか……」この策は、彼が以前から考えていたことだった。莉亜の浮気の証拠を掴んでから、正式に計画を実行に移すつもりだった。もともと潤は法的な手段を取れば、莉亜に直接
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