修は、朝からわざと森川に美樹を迎えに行かせた。 サプライズを仕掛ける為、もちろん"美樹”だとは言わずに──「デザイン部から本社へ異動の辞令を出すので、朝から迎えに行って来てくれないか?」 「かしこまりました。どなたでしょうか?」 「あ、え─っと倉田、誰だったかな?」 修は惚けた顔をしながら倉田の方を見た。 ──!! 坊ちゃん、お人が悪い! 私に振るとは……。 「えーっと、後で辞令が出ますので、出ましたらご連絡させていただきます」 「そうだ! 先に迎えに行ってくれ、後で連絡するから」 「かしこまりました」 森川は少し変だなという顔をしながら、社長である修の言うことだからと、すぐに車で迎えに行くことに。 「坊ちゃん……」 「ハハッ、サプライズだからな」 「私にお振りにならなくても……」 倉田が困った顔をしながら笑っている。 「本人に会えば分かることだからな」 修はニヤッと笑いながら、綾に報告する。 〈森川にサプライズで岩川を迎えに行かせた〉 〈え、森川さん、美樹だって知らないの?〉 〈ああ、まだ本社にはこれから辞令を貼り出すからな〉 〈ふふ、美樹も森川さんが来るとは知らないんでしょ?〉 〈ああ、楽しみだな。後でドラレコ見せてもらおうかな〉 〈社長! 趣味が悪いわね〉 〈綾だって笑ってるだろう?〉 〈笑笑〉 ──── 美樹は、デザイン部での挨拶を終え、会社の玄関前で迎えの車を待っていた。 そこへ黒塗りの車が一台停まった。 「え? 拓?」 ──!!
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