奈緒は痛みで顔を歪め、充の端正な顔を勢いよく叩こうとした。「充、何すんのよ!」その直後、充は再び奈緒の両手首を力任せに掴み上げ、彼女の頭の上に固定した。充は奈緒の長い首筋に顔を埋め、それから鎖骨の下へと順に、情熱的な痕をいくつも刻みつける。奈緒が文句を言おうとすれば、充はすぐさま唇で彼女の口を塞ぎ、狂おしいほど激しくキスをした。それは、奈緒の呼吸さえも奪い取るような行為だった。しばらく経ち、奈緒が息も絶え絶えになったところで、ようやく充は彼女を離した。充は奈緒の華奢な首筋を締めつけながら、異様なほどの独占欲を露わにする「忘れるな。お前は俺の女だ」「どうかしてるわ!」奈緒は奥歯を噛み締めた。充は、半分狂気に取りつかれたような笑みを浮かべて言った。「そうだ。俺はどうかしてるよ。それも、お前のせいで、死ぬほど頭がおかしくなりそうなんだ」怒りに駆られた奈緒は、充の隙を突き、膝で彼の急所を蹴り上げる。「だったら死ねばいい。私の前で変なことしないで!」間一髪で躱した充だったが、奈緒の拘束を解くしかなかった。奈緒はその隙を逃さず、充の腕の中から滑り出した。唇の端の血を拭いながら、自分の胸元に刻まれた赤い痣を目にして、奈緒の瞳は怒りに燃え上がった。必死に関係を断ち切ろうとしているのに、それでも無理やり押さえつけられてキスされる。その屈辱と悔しさに、奈緒は怒りで胸が煮えくり返りそうだった。何としてでも、できるだけ早く充との婚姻関係を終わらせる。奈緒は一度目を閉じ、冷え切った声で言い放った。「充、覚悟しておいて。明日、離婚に関するものとゼニスビルの著作権争いに関する内容証明が届くと思うから。どちらの裁判も勝つのは私。信じられないんだったら、結果が出るまで大人しく待つことね」そう言って奈緒は迷いなく車のドアを開け、この窒息しそうな空間から逃げ出そうとした。しかし、充が即座に手を伸ばし、扉に手をかけた奈緒を強引に引き留める。深い疲労を宿した瞳で、充は言った。「奈緒。俺たちは5年も夫婦だったんだ。なのに、どうしても争うしか道はないのか?」「私は穏便に終わらせたかった。でも、それを拒んだのはあなたでしょ?全てあなたのせいだから」と、奈緒は言い返した。「何が俺のせいだ?普通に暮らしていればいい
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