いつものようにイーグルの機体を駆って、飛んでいる。(おかしいな……?) そう感じたのは、飛んでいるのになんの圧迫も無かったからだ。「百合緒! 脱出しろ!」 不意に、無線機に若桐の声が響いた。 ガクガクと小刻みに揺れていた機体が、轟音とともに大きくふらつく。(なんだっ?!) グルグルと周囲を見回し、計器類を確認する。 高度計が目まぐるしく動き、急速に落ちていた。「守さんっ!」「早く出ろ!」「でも、このままじゃ機体が地上に……」「つべこべ言うな、ひよっこが!」 風防が飛び、椅子が強制射出される。(え、なんでっ?!) 空に放り出された真壁の目に飛び込んできたのは、複座の付いた訓練用の機体。 風防が飛んだ機体の複座に、人影があった。「守さんっ?!」「俺は機体を海に運ぶ!」「守さんっ!」 真壁は必死に手を伸ばすが、煙を上げた機体は見る見る遠のいていき──「守さんっ! やだっ!」 叫んだところで、目が覚めた。 隣の壁を、ごんごんと叩く音がしている。「おい、真壁! どうした?」 響野の声だ。 官舎の一人部屋は、一応のプライベートは保たれるが、さほど壁が厚いわけでもない。 真壁は壁を叩き返した。「なんでもない……」 しかし、全身の震えが止まらない。 射出された瞬間の衝撃。 ジェット噴射の色とは明らかに違う炎を上げるエンジン。 遠ざかる機体と、たなびく黒炎。 真壁は、わななく手で思わずスマホのボタンを押していた。『ん〜? なんだぁ、百合緒……、どうした?』 短いコールのあとに、眠たげな若桐の声が聞こえる。「すみません……。こんな
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