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All Chapters of 空に墜ちる -if-: Chapter 31 - Chapter 40

66 Chapters

2-3

 食事を終えると、部屋の中はしんと静まり返った。 係のスタッフが料理を片付け、座ったソファの隣には真壁がいる。 窓の外には、月。 ベランダの露天風呂は、左右が仕切りで囲われているが、柵の向こうには渓流があり、その向こうは雄大な自然が広がっている。「静か……ですね」「そうだな……」 若桐は、手に持っていたグラスをテーブルに置くと、すっと立ち上がった。「風呂、入るか?」「はい」 浴衣を脱いで、掃き出し窓を開ければ、そこに湯船がある。「うわぁ〜、なんか入ると開放感がすごい……」 張り出した屋根があるが、外への仕切りが一切ない眺望は、月明かりの下に薄っすらと浮かぶ自然が素晴らしい。 そうしてはしゃぐ真壁を見やり、若桐は嘆息した。(凶悪なほど、色っぽすぎんだろ……) 露天のフチから身を乗り出している真壁は、うなじから背中、腰から足まで、全く無防備だ。 室内の明かりと、月明かり。 両方の淡い光に照らし出されて、いつも以上に肌が白く見える。(こりゃ、思考だけじゃなくて、存在そのものが〝妖精〟だな) 若桐は正反対の位置に身を置き、そこでぱしゃぱしゃと楽しげに喜んでいる真壁の姿を眺めていた。「なんですか?」「子供みたいだなって思って」「ひどくないですか?」「じゃあ、裸を堪能してたって言われたほうが良かったか?」 返された答えに、真壁は真っ赤になった。「あ……えと……」「莫迦。風呂でなんかする気、ねぇよ」 ハハハと笑ってから、若桐はスイッと真壁の傍に泳ぎ寄った。「でも、今夜は寝かせないかもな」「……守さん……」 身を縮こませる真壁の頬に、若桐は笑いなが
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2-4

 湯船から上がり、体の水滴を拭い終わるか終わらないかのタイミングで、真壁が若桐に抱きついた。 距離が近かったおかげで、ミサイルの威力はほぼなく。 抱きとめた若桐は、そのまま真壁の唇に、噛みつくようなキスをする。 そこからは、まるで雪崩れるように寝室に移動した。 双方が、互いを貪るようにキスを交わす。 体を重ねることが目的の行為であるはずが、それは二の次のように。 若桐の手が真壁の髪を撫で、掴み、頭蓋骨の形までも覚えようとするように手を当てる。 真壁は若桐の背に腕を回し、一回り小さいその体をそのまま自分の体と同化させようとするかのように抱きしめる。 しばらくの間、二人は無言でひたすら互いの唇を求め合い続けた。「すごく……、すごくこうしたかったです」「俺だってそうだよ」 見つめ合ったあとに、再び唇を重ね合う。 若桐の太ももに、真壁の熱が当たり、ふと視線を下げると。 真壁は恥ずかしそうに頬を赤らめた。「なんだよ?」「だって、キスだけでこんななっちゃって……」「俺もだって、言ったろ」 窓から差し込む月明かりだけの薄闇の中、若桐は真壁の手を自分の下腹に導く。「守さんも、寂しいって思ってくれてるんですね?」「そうだつってんだろ」「だって守さん、仕事の話になると、いつもすごくドライって言うか……」「そりゃ、おまえ……」 言いかけて、少し黙り込み。 若桐は、真壁のそそり立つ熱を口に含んだ。「あっ……」 しばらく、若桐が根本を掴んだまま、喉奥まで迎え入れ、ねぶる音だけが室内に響く。 真壁は片手で口元を押さえて、片手でシーツを掴んでいた。 若桐の愛撫は、やがて真壁の窄まりにまで及ぶ。「あっ! あぁっ! まもるさ……、イッちゃ…&he
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2-5

 翌朝、やはり部屋に運ばれた朝食を向かい合って食べる。「今日は、何時までいいんですか?」「夕方、おまえが基地に戻るまで一緒に居てやるよ」「ホントですか!」 真壁は、純粋に喜びに縁取られた顔をしたあとに、ちょっとむぅっと唇を尖らせる。「なんか……、守さん、ダブスタじゃないですか?」「どこが?」「だって……」 もごもごと言葉を濁して、真壁は茶碗に山盛りの白飯を口に運ぶ。「俺は自衛官辞めてきたわけじゃねぇだろ」「でも、いつも僕に、無駄遣いするなとか。積立しろとか……」「それやってるから、いざって時にこうやってリゾートホテルでいい部屋取って、一泊旅行とか出来るんだろ」「メールの時も、仕事に集中しろとか、無理に休暇取るなとか……」「日常できっちり信用勝ち取ってるから、二日も休み取れるんだろうが」「……えっ? ふつ……か……?」「考えても見ろ。昨日は午後から半休取って、東海道と東北新幹線乗り継いで、ローカル込み込みで五時間近く掛かってんだぞ? 二日取らなきゃ、こうしてる時間あるわけないだろ」「輸送機じゃ……」「そんなことしたら、俺がおまえに会いに来たのが丸出しになるじゃねぇか」 若桐は食事を終え、箸を戻したところで、真壁の顔を真っ直ぐに見る。「俺は、おまえといられるために、最大の努力をする。数分長く会うことより、安全に会うことを選んでるのは、結果的におまえと長くいられるからだ。俺たちが付き合うとなったら、面倒だと、最初に言っただろ?」「はい」「どんなに忙しいと言っても、ブルーで飛べるのはほんの数年だ。目先の欲より、その宝みたいな時間を大事にしてくれ」「……守さん……」 膳をどけようとする真壁に向
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2-6

 松島から静浜に戻り、数週間後。 若桐のスマホに着信があった。「……山城から……?」 不思議に思いながら──「はい」「あ、若桐教官、お疲れ様です。今、大丈夫ですか?」「うん、構わないが……どうした?」「真壁から、教官が釣りにハマってると聞きまして」「はあ?」「最近の釣果はどうですか?」「釣果……ったって、……そもそもおまえは、釣りをするのか?」「しますよ。クルーザーで海釣りが好きなんですけど、今は時間がなくて」「そりゃそーだろう」「で、教官は?」「……サビキをちょっと、息抜きにする程度だから……、釣り好きと言うのはおこがましいと言うか……」 山城の意図が分からず、若桐はもごもごと答える。(なんだこの、誘導尋問みたいな会話……)「先日は、真壁に活を入れていただいて、ありがとうございます」「俺はなんにもしてねぇよ」「いやぁ、静浜で教官が気付いてくれて。若いの潰さずに済みました」「だから、俺はなんもしてねぇっつーの」「真壁は教官からお預かりしている、大事な教え子ですし。私にして見れば弟弟子みたいな感覚ですから」「どこの武道の一門だよっ!」 言いながら、若桐は笑っていた。「今週末、真壁が外泊申請出してるんですよ。行き先は御前崎だそうで」「松島からじゃ、遠いな」「ええ。だけど、御前崎以外では、釣れないんだそうです」 若桐は、長く息を吐く。「山城……」「はい」「おまえがブルーの隊長職に付くって聞いた時、あの短気が大丈夫かと思ったが……。どうして、どうして、結構上手くやってんだな
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1.妖精さんの目覚め

「守さん、射精管理って知ってます?」 それは、真壁がブルーインパルスのパイロットの任務を終え、念願の〝浜松勤務〟に戻った、最初の月のデートの時だった。 二佐に昇進した真壁を祝うために、若桐は〝はまだ〟の女将に頼んで、夕食に地元の良い酒を特別につけてもらっていた。 それにしたたか酔ったのか? 唐突に真壁がそんなことを言い出したのだ。「突然、なんだよ?」「僕の友人がですね……」「待て、待て、待て。その〝友人〟って誰だ? 俺の知ってるやつか?」「いえ、守さんの知らない人です。聖一さんって言うんですけど、すごくいい人で……」 このボンクラ妖精にそんな不穏な単語を吹き込む人物が、いい人とはとても思えない。「百合緒」「はい?」「まずはその〝聖一さん〟が何者なのかを、きちんと説明しろ」「あ、えーと……。SNSで知り合った人なんですけど、聖一さんが主催している〝筋肉愛好会〟っていうチャットグループがあってですね」「そのチャット、筋肉をどのように愛好してんの?」「あ、愛好って言ってもですね、自分の肉体を鍛えるのが目的なんです。体質的に筋肉が付きにくい人が集まって、どうやって体を鍛えているかとか、効果があった方法はどんなトレーニングと食事をしたか……みたいなのを報告し合う場所なんですよ」 若桐は、頭痛がしてきた。「待ってくれ。それだけ聞くとものすごく健全な感じしかしないのに、なんで射精管理なんておかしい言葉が飛び交ってるの?」「それはちょっと、話が逸れた時に出た話題なんですけど。聖一さんはゲイでカミングアウトされてるんです」「まさかおまえも……」「打ち明けました」「え……、言っちゃったの?」「あ、ちゃんと以前にSNSを使う時には、気をつけるようにって講習受けましたから、本名とかは名乗ってないです」「ちなみに&hellip
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1-2

 結局、若桐の悩みは有耶無耶のまま棚上げになった。 せっかくの逢瀬を、小一時間の説教で潰すのは、若桐とて望まない。 そもそもその謎の〝聖一さん〟なる人物が吹き込んできた話は、ところどころ正論なものだから、真っ向から否定できないのだ。 手の中の革紐も、夜のちょっとした刺激に使うとしたら、さほど異常な道具でもない。(ただ……なぁ……) ワクワクしながら見上げている真壁を眺めて、若桐は再び心の内で嘆息する。「ホントに、やってみたいのか?」「だって、せっかく聖一さんが用意してくれたものですし。使った感想、お伝えしたいです」「辛かったり、苦しかったりしたら、すぐ言うんだぞ?」「はい」 真壁の根本に革紐を巻き、若桐はあまりきつくせずに結び目を結んだ。「なんか……ゾクゾクしますね」「うん……。だろうね……」 なんともはっきりしない返事をして、若桐は真壁にキスをする。 すぐにも夢中になって、真壁はキスを返してきた。(なぁんか、ヤな予感しかしないんだよなぁ……) いつものようにローションを手に取り、真壁の窄まりに指を入れる。 びくりと跳ねた体の艶めかしさに引き込まれるが、どうにもそこで目の端に映る革紐が気になって仕方がない。(こいつ……、日常以外の勘どころは良すぎるほどイイからなぁ……) すぐにも息を乱し、若桐の名を呼びながら蕩けた真壁は、頬を上気させながら腰を跳ね上げる。「あっ!」「苦しいか?」「ん……っ……」 こくんと頷く真壁に「解くか?」と問うたら、首が左右に揺れた。「なんで? 苦しいんだろ?」「でも……、なんか&helli
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1-3

 真壁が〝オカシイ〟ネットの友人を増やさないか……? とハラハラしていた若桐だが。 その後、真壁から友人が増えた話は聞かされない。 プライベートの依存度がかなり高い真壁は、そういう話を若桐には赤裸々に語る。 件の〝聖一さん〟関連の話は続いているが、スマホをチェックしても特に不穏な動きはない。(しっかし、スマホチェックとか……。これじゃあますます篠原さんに〝おかん〟って言われっちまうぞ……) 真壁が風呂を使っている間、布団でゴロゴロしながら、預けられたスマホのチャット履歴を見る。(てか、このパティシエさん。会話ログを読むとそれほど悪い人じゃなさそうなんだけど……) 相変わらず、内容は微妙にズレてはいるが、大真面目な筋肉考察の話が並んでいた。(この人……。イイカラダしてるかどーかは関係なくて、この性格のせいでカレシ出来ないんじゃないの?) そんな疑問が脳裏をよぎる。「守さん、お待たせしました」 戻ってきた真壁は、心無し、目がギラギラしている。「どした?」「今日は、僕が、守さんを楽しくさせます!」「はっ?」「いっつもしてもらうばっかりの関係だと、相手が飽きてしまうって……」「待て! それ、聖一さんに言われたの?」「違います。でも、記事に書いてありました」(聖一さんはいい人でも、出入りしてるSNSの影響がNG!) 慌てて起き上がろうとしたが、鼻息も荒く真壁がのしかかってきた。 圧倒的な体格差があり、真壁が本気で若桐の両肩を掴んだら、身動きは取れなくなる。「ちょ……、百合緒さん……?」「任せてください! 勉強してきましたから」「おまえのやる気は、時々暴走するからぁ……」 若桐の浴衣の腰紐を
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1-4

 翌朝、若桐は箱に収め直したコックリングを、真壁に差し出した。「あ、これ、昨日の!」 「うん。やるよ、おまえに」 「えっ!」 「ほら、どうせパイロットなんかやってると、指輪とか贈ってもつけられないだろ? でもなんか、記念っぽい貴金属やりてぇなって思ってたからさ。プラチナ製で、ちょっといい値段したから」 「それって、守さんが僕にエンゲージリングくれたってことですか!」 「ちょっとちがくね?」 「だって、記念っぽくて、いい値段のする貴金属ですよ! リングだし!」 「ええ〜、おまえって〝リング〟に喜ぶような、キャラだったっけ?」 「めちゃくちゃ嬉しいですよ!」 「喜ぶのはいいけど、気安く身につけるなよ?」 「もちろんです! ドッグタグに通して持ち歩きます!」 「やめろぉ!」 若桐はひっくり返りそうになった。「駄目ですか?」 「駄目に決まってんだろ! そんな見るからにおかしい格好してるもの!」 「そっか……」 しょぼんとなった真壁に、若桐は胸がズキッと痛む。「分かった。じゃあ、今度フツーの指輪買ってやるから。それなら、ドッグタグに通して置いても、おかしくないし」 「え……?」 しょんなり顔から、視線を上げて若桐を見た真壁の瞳に、急に光が灯る。「それなら! 僕がお金出しますから、ペアリングにしましょう! お揃いのやつ!」 「はっ?」 「僕と守さんの、マリッジリングです。エンゲージの次は、マリッジですよね!」 「え……、あ……、うん、まぁ……」 「やった! いつも守さんと一緒にいられる!」 「マジでオジョウサンかよ……」 「なんか言いました?」 「いや。じゃあ、今度は浜松にホテル取るか。実物、見て決めたいだろ?」 「はいっ!」 真壁は心底嬉しそうに頷いた。
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1-5

 静浜に戻った若桐は、日常業務をこなしながら、なんとなくネットで指輪のデザインを調べていた。(ブランドによって、ずいぶん違うんだなぁ) 指輪なんて、金属をピカピカに磨いた輪っか……という認識しか無かった若桐には、いろいろ衝撃的だった。「若桐さん、いる〜?」 教官室の入口で、同僚が若桐を呼んだ。「なんです?」「受付に、浜松から人が来てるぞ」「あ、そう? あんがとさん」 心当たりは無いが、なんだろう? と思いつつ、受付に向かった若桐だが。 そこに立っていたのは、真壁だった。「え……?」 びっくりしつつも、今は職場だ。 若桐は平静を保ちつつ、右手を上げた。「真壁二佐、ご要件は?」「………………」 真壁はキャップのつばを下げていて、顔がよく見えない。 そして、無言でつかつかと若桐に歩み寄ると、いきなり二の腕を掴んでそのままどんどん歩き続ける。「ちょ……、ゆり……いや、真壁二佐?」 ぐいぐい引っ張られるままの若桐は、下から真壁の顔を見上げてギョッとなった。 目の下に色濃いクマがあり、頬骨が立っていて、なんというか鬼気迫る顔だ。(えっ? なんか怒ってるの? てか、元の顔面偏差値が高いやつって、やつれると怖さが割増されるんだ? つーか俺、なんかした?) どんどん進む真壁が若桐を連れ込んだのは、グラウンドの向こう。 基地の外れにあるトイレだった。「なんでこんな場所に……」「守さん! 助けてください!」 突然、わっと真壁が泣きながら縋りついてくる。「なんだ、どうした?!」 問う間もなく、真壁は自分のベルトを外し、ズボンと下着を降ろした。「あ&hellip
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1.響野の結婚

 その日、若桐は定期検診で、浜松基地にいた。(あ〜、百合緒は築城に行っちゃってんだっけ) なんとなく、帰りに真壁の顔を見て帰ろうと考えていたが、先日、副飛行隊長として栄転してしまったのだ。(まぁ、びっくりするほど順調にエリートコースを進んでるなぁ) 若桐が目的の医療棟に進むと、そこで受付をしていた事務の女性が顔を上げる。「あら、若桐さん。時間通りね」「よっ、麗子ちゃん」「若桐二佐、気軽に名前にちゃん付けは駄目ですって言ってるでしょ」「あー、ごめん。篠原さん」「よろしい。もう入れますよ、どうぞ」「あんがとさん」 促され、若桐は診察室の扉の奥へと進んだ。「若桐くん、いらっしゃ〜い」「篠原先生、ご無沙汰してます」 篠原医官は耳鼻咽喉科の専門医である。 訓練生だった若桐の内耳疾患を見つけた医者であり、同時にスクランブル要員だけが全てではないと説いてくれた恩人でもあった。「めまいとか、耳鳴りとかは?」「耳鳴りは、なかぁないですけど……」「外の音が聞こえなくなるほど、大きい音?」「それほどでもないです」「じゃー、年齢的なものだねぇ。僕も最近、多いよ」 あっはっはっはっなどと笑っている篠原は、既に還暦を過ぎている。 機器を使って聴力を含めたいくつかの検査を済ませ、篠原はマウスをカチカチさせながら頷いた。「今回も問題ないね。……今年もちゃんと、飛行時間稼いでるねぇ」「そりゃ、飛びたくてパイロットになったんですから、そうそう手放す気ないですよ」「はあ〜。あのパイロットになれないって泣いてた若者が、もう五十のおっさんか〜。僕も歳を取るよ……」「いや、泣き言は言いましたけど、泣いてないですからね」「そうだっけ? あーあ、若桐くんが息子になってくれたら良かったのになぁ」 長年の付き合いの気安さから、検診後はだいたいこうした私
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