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第58話

Author: クレヨンまるこ
晴南が病院へ駆けつけたとき、病室で彼を待っていたのは、ただ一人静かに過ごす咲夜の姿だった。

千暁は処理すべき急用で席を外しており、ちょうど晴南と入れ違いになったため、二人が顔を合わせることはなかった。

咲夜はベッドの背もたれに身を預け、スマートフォンでショートドラマを眺めていた。時折流れるコミカルなシーンに、彼女の口角がふわりと緩む。

入り口に立つ晴南は、その晴れやかな笑顔に、思わず足を止めて見入ってしまった。これほど屈託のない彼女の笑い顔を見るのは、一体いつ以来のことだろうか。彼は呆然としたまま、その光景を瞳に焼き付けていた。

不意に、咲夜は何かの気配を察したのか、ふと顔を上げた。

入り口に立つ晴南の姿を認めた瞬間、彼女の唇からさざ波のような笑みが消え、その表情は一変して凍りついた。

――晴南……?どうしてここに。

咲夜は無表情のまま、歩み寄ってくる男を見つめ、わずかに眉をひそめた。

「……何の用?」

真っ先に脳裏を過ったのは、先ほど無下に拒絶した数件の着信履歴だった。

余所余所しい口調で突き放され、晴南の胸に形容しがたい閉塞感が広がる。

「様子を見に来たんだ。
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