自分自身よりも深く自分を理解し、心底寄り添ってくれる唯一の人間。彼女の存在が、張り詰めていた内面を温かく解きほぐしていく。「……もう、こういう話はやめにしよう」律はふっと微笑み、話題を変えるように言った。「今日は帰って早く休もう。それに、今日は私自身、嬉しいことがあったんだ。おばあちゃんの顔色が本当に良くなっていたからね。ここ最近、健やかに過ごせている証拠だ」「今のあの人に一番必要なのは、誰かがそばにいてくれる時間だ。側にいるのが誰であれ、話を聞いて機嫌をとってくれる相手がいれば、それだけで安心できるのだろう。歳を取ると、どこか子供のようになるものだからな」日頃からもう少し忍耐強く接してさえいれば、志津の体調は驚くほど良くなるのだ。「おばあちゃんが穏やかに生きていてくれるなら、私がこれまでに払ってきた犠牲など安いものだ。私とあの人の間にある情は、他の誰にも理解できないかもしれないがね。……私の父親がどんな人間か、君も知っているだろう?」律の眼差しが、わずかに遠くを見つめるように細められた。「私がまだ幼い頃、父はさっさと一人で海外へ飛んでしまった。両親は夫婦仲も冷え切っていたしね。母は……もちろん私を愛してくれていたし、大事に育ててはくれた。だが、根がひどく遊び好きで、ある意味で酷く利己的な人だった」「彼女はよく自分自身の生活を楽しむために、私を置いて遊び歩いていたんだ。友人たちと食事に行ったり、カードゲームに興じたりしてね。私を愛してはいたが、それ以上に自分自身を愛していたんだ。母がそうして出掛けている間、ずっと私の側にいてくれたのは、他の誰でもない、おばあちゃんだった」「あの頃、おばあちゃんはまだ若く、会社の実権を一人で握り、あらゆる業務を切り盛りしていた。それでも、必ず時間をやりくりして私と一緒にいてくれたんだ。自ら勉強を教え、その日にあった些細な出来事を熱心に聞いては、正しい方向へと導いてくれた」「私とあの人の結びつきは、他の誰とも違う。だからこそ、私にとってこの絆は何にも代えがたいし、決して手放すことなどできないんだ」律は、これまで誰にも語ることのなかった過去の記憶を静かに打ち明けた。多忙を極める中で、志津の体を何よりも気遣い、懸命に側で支えようとする理由――それはこの記憶の積み重ねがあったからだ。恩義に報いるため、律
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