「そう言ってくれると、本当に嬉しいよ。ずっと海外で育ったから、どんな子だろうと案じていたけれど、お前の考え方はちっとも向こうの人間らしくないね。本当に、素直でいい子だよ」志津は目尻に皺を寄せて応えた。「お前が来てから、この家もすっかり明るくなった。お前が家族の間を取り持とうと、日頃から色々と気を配ってくれているのも分かっているよ」「だからね、お前には期待しているんだ。これからも立派に成長しておくれ」普段は身内の姿もない広い屋敷で、手持ち無沙汰な日々を過ごしてきた志津にとって、こうして若者たちに囲まれながら食卓を囲む賑やかなひとときは、何にも代えがたい幸福だった。「おばあちゃん、約束しますよ。これからは仕事が休みの日はいつでも顔を出しますし、ずっとそばにいます。父さんはまた向こうへ戻ってしまって、次いつ来るかは分かりませんが……父さんがどうであれ、僕はずっと国内に残るつもりです」颯馬は居住まいを正し、さらに言葉に熱を込めた。 「これまでこちらの文化に触れる機会もなくて、父さんから拝島家の話を聞かされるだけでした。でも、実際にこちらへ来てみると、本当に居心地がよくて。どうしてもう少し早く来なかったんだろうって、後悔しているくらいなんですよ」颯馬の表情は真剣そのもので、言葉の端々から今の環境を心底愛しているような純粋な熱意が伝わってきた。仲睦まじく語り合う二人の姿を傍で眺めながら、紫音の胸中はひどく複雑だった。相手に対する警戒心は、いまだに微塵も解けていない。決定的な理由は分からない。だが、颯馬の振る舞いには、どうしても拭い去れない違和感が付き纏うのだ。しかし、これほど嬉しそうにしている志津に、あえて冷や水を浴びせるような真似はできなかった。今はただ、颯馬が本心から志津の幸せを願っているのだと、穏便に解釈してやるしかない。確固たる証拠もないのに「あの男には裏がある」などと口を出せば、かえって自分たちが不当に彼を敵視しているように見えてしまうだけだ。紫音はそっと息を飲み込み、穏やかな微笑みを崩さずに見守り続けた。「あ、そうだ。紫音さん。紫音さんの会社で最近新しいプロジェクトを動かしていると耳にしまして。少しでもお役に立てればと思って、いくつか資料を用意してきたんです。紫音さんは僕なんかよりずっと優秀ですから、参考になるかは分か
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