新幹線で数時間、そこからホテルへの移動は車。 車で数時間かけて到着したホテルは、とても立派で大きなホテルだった。 「──わあ!」 もみじは、目の前に聳え立つホテルを見上げて感嘆の声を上げた。 楽しそうに声を上げるもみじを、髙野辺は優しげに目を細め、見つめる。 自分達の荷物を車から出してくれる蒔田と田島。 髙野辺に「部屋に運んで参ります」と話しかけると、2人はそっとその場から離れた。 髙野辺は楽しそうにホテルを見上げたり、周囲を確認するもみじにゆっくり近付いた。 営業会議で利用しているホテルは、毎回同じだ。 昔から髙守株式会社が懇意にしているホテルで、髙野辺もこのホテルには出張の際何度も利用している。 ホテルの裏側には広い庭が広がっており、小さな川がある。 夕食を食べ終わった後、そこを散歩するのが髙野辺の好きな時間だった。 「もみじさん」 「──はっ!す、すみません……!ついついはしゃいじゃって……っ、恥ずかしいですよね、失礼しました……!」 「全然大丈夫ですよ。俺たちはまだ少し時間がありますから、少しこの辺りを散策してみますか?」 「──いいんですか!?」 髙野辺の提案に、もみじはぱっと表情を明るくする。 楽しげな雰囲気のもみじを「可愛いな」と思いつつ、髙野辺も自然と笑みが浮かんだ。 「このホテルの裏手に、見事な庭があるんです。そこには小さな川も流れていて、凄く落ち着ける場所ですよ」 「本当ですか?行ってみたいです」 「じゃあ行きましょうか。足元気をつけて、もみじさん」 「あ、ありがとうございます……っ」 自然に、流れるような動作で手を差し出してくれる髙野辺。 もみじは一瞬迷ったが、すぐに髙野辺の手に自分の手を重ねた。 髙野辺の言う通り、ホテルの裏手はそこそこ広い庭だった。 時折石に足を取られてしまったが、髙野辺がすぐにもみじを支えてくれる。 いつの間にか重ねているだけだったもみじと髙野辺の手は、ぎゅっと握り合うようになっていて、髙野辺との距離も近くなっている。 もみじの肩が時折髙野辺の腕に触れるくらいの近さで、もみじは自分の心臓がドキドキと速まるのを感じていた。 「──あ!」 そうしていると、もみじの目の前に小さな川が現れた。 もみじが表情を輝かせると、髙野辺が笑顔を浮かべ、口を開く。 「川のせせら
Last Updated : 2026-06-28 Read more