「──ああ、もう……」 もみじは小さく溜息を吐き出し、自分の額を押さえる。 昨夜、もみじが髙野辺の部屋に入って朝まで出て来なかった、と言う記事はとても下品な言葉達で記事が書かれていた。 ただ酔い潰れて髙野辺の部屋で眠ってしまっただけだが、誰がそれを信じてくれるだろう。 結果として、もみじは髙野辺の部屋に一晩泊まってしまっているのは事実だ。 未婚の男女が、夜に1つの部屋に入って朝まで出てこなかった。 その文章だけ見ると、何かあったのでは。 男女の仲になっているのでは、と邪推してしまうのが人だ。 今まで顔を晒していなかった髙野辺が、記事で写真を載せられてしまった。 沢山の人に、髙野辺の顔が分かってしまったのだ。 それに、髙野辺が【恋人】が居るにも関わらず浮気をしている。 そう考える人が多く居るだろう。 実際の事なんてどうでもいいと考える悪い人だっている。 ライバル会社などは、この記事が出てこれ幸いと悪評を広めるかもしれないし、TK株式会社の株価にだって、会社のイメージにだって影響が出るかもしれない。 「──いえ、イメージダウンは確実だわ……。せっかく新商品を発売した直後なのに……」 新商品の販路を、新商品の営業を頑張ってくれた営業社員達に申し訳ない。 営業会議で。交流会で、もみじは沢山の営業社員と話をしたのだ。 みんな、自分の仕事に誇りを持っている。 営業社員が苦労して開拓した販路を、こんな風に悪意ある記事で無駄にしてしまったら。 「──胸が痛むわ」 もみじは自分の心臓に手を当て、ぐっと悔しげに唇を噛む。 「私には、何も出来ないのが悔しい……」 髙野辺は、きっと忙しく動いているのだろう。 それなのに自分は部屋でじっと黙って待っている事しか出来ない。 それがもみじには、とても悔しかった。 「ひとまず、今ネット上に出ている記事を全て確認しておこう……もしかしたら、会社で何か聞かれるかもしれないし……」 そう考えたもみじは、自分のスマホに視線を落としネットに上げられている記事を片っ端から見て行く事にした。 どれもこれも、浮気だの二股だの、下品な事が書かれている。 それほど、髙野辺の【恋人】は記事に大きく出ていた。 「……秘密の恋人?2人は、社内では関係を秘密にしていた……。逢瀬はいつも、あるお店で。……凄く具体的ね
Zuletzt aktualisiert : 2026-07-06 Mehr lesen