美鈴は頬を赤らめ、小さく笑った。「やだ……」そう言いながら、そっと自分のお腹へ手を添える。何気ない仕草であるが、この特徴的な仕草に会場の空気がさらにざわついた。「ほう」隣で光也が面白そうに声を漏らした。「君にちょっかいを出すのだからてっきり……」その言葉の先は必要なかった。二人はすでに男女の関係にある。実花は美鈴へと視線を向ける。(あ……)美鈴と目が合った。その瞬間、美鈴の顔が勝ち誇ったものになった。前の生で散々見てきたもの。恒一が実花から離れて自分のところに来るたび。恒一が美香を責めるのを、恒一に肩を抱かれながら。前の生で実花を何度も傷つけた顔を実花はじっと見つめ返す。(……なんでだろう)美鈴の顔が怪訝なものになったところで、視線を恒一へ移す。恒一も驚いているようだ。いつもの言葉、「義妹だから」という言葉は出てこない。「臭わせられればいいと思っていたが」光也が小さく笑う。「思った以上に効果が出そうだ」「どんな効果を?」実花が尋ねると、光也は当然のように答えた。「一ノ瀬恒一が二度と、君の婚約者などと口にしないようにしてやるつもりだった」「まだ婚約者ではありませんでしたよ」あくまでも候補。それも、候補者の一人。実花が苦笑すると、光也は露骨に不機嫌そうな顔をした。「その可能性があっただけでも十分不快だ」あまりにもはっきり言われ、実花は思わず目を丸くする。(そう……なの?)「このような画策はしたが」光也が静かに口を開く。「俺もお義父上も、君が気移りをするなどとは思っていない」実花は光也をじっと見る。「ただ」光也は美鈴たちへ目を向ける。「俺が奴を見ると気分が悪くなるだけだ」「え?」実花は驚いた。光也は恒一のことなど歯牙にもかけていないと思っていた。「まさか」思わず声が漏れる。「なんで驚く?」光也は実花の反応に少し驚いたようだった。「君が好きになった男だ」静かな声だった。「気にならないわけがない」あまりにも普通の答えだった。その普通さに、実花は逆に驚いてしまう。(東国さんにも……)そんな感情があるのだ。そう思ったとき。実花は前の生を思い出す。恒一に好かれたくて、美鈴の真似をしたことがあった。髪型。服装。話し方。恒一の好きなタイプになろうと必死だった。(東
Read more