真理と社長室で会ってから、一ヶ月経った。実花の胸には、まだ小さな棘が刺さったままだ。それでも日常は何も変わらない。学校へ行き、授業を受ける。光也とは火曜日のバイトで会う。光也は以前と何も変わらなかった。真理も変わらない。何度か学校に来て、来る前日に実花に連絡が来て、お昼休みに図書室で会う。穏やかに笑うことも。実花へ話しかけてくる声も同じだ。まるで、何事もなかったかのように進んでいる。だからだろう。実花は自分だけ置いていかれている感じがしていた。.「そういえば、この前の土曜日。東国さんと会ったんでしょう?」いつも通り図書室で会うと、真理にそう言われた。土曜日。確かに実花は光也に会わないかと誘われた。(でも……)「ううん。土曜日は用事があって」「そうだったんだ」真理との会話はそこで終わったけれど、実花の中にはモヤッとしたものが残った。(どうして土曜日に東国さんが私を誘うことを知っているの?)どこかで二人は会っていたことになる。そこで二人はどんな会話をしたのか。自分は二人の間でどういう存在なのか。(共通の知人、それとも……)お邪魔虫。実花は隣にいる真理を見る。視線に気づいたのか、真理がこちらを見て首を傾げる。その表情から、敵意とか嫌悪とかは感じない。実花は少しだけ安心した。(あのとき、「今は言えない」って言ったのは……)きっと、本当に事情があるだけなのだ。光也も、真理も、実花を傷つけようとしているわけではない。だから嘘を吐いたり隠したりせず、「今は言えない」と正直に伝えてくれた。「待っていてくれる」と信頼されていると思えば、嬉しくもある。けれど。そんな気持ちは長く続かな
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