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繋がったのは彼との鎖――大海原で全てを失った私の奪還——
繋がったのは彼との鎖――大海原で全てを失った私の奪還——
Author: 宵更カシ

第1話 舞踏会からの追放

Author: 宵更カシ
last update publish date: 2026-06-21 17:39:25

 終わりという言葉がシャンデリアに照らされ、海原のクルーズ船はざわめきという荒波に揺られる。

「私とは終わりって、どうしてなの純?!」

「はぁ・・・・・・お前も察しが悪いな。お前よりイイ女が見つかったからに決まってるだろ」

 『一条 純』がため息交じりに言う。

 なぜなの。真っ先に脳裏を過ったのはそんな問い。

「お前の親父の権力には世話になったよ。だが、それも今日までだ。散々、家族をコキ使って金稼ぎしやがって」

 今日まで?

 初めて見る彼の一面に驚きながらも、その含みのある言葉に引っ掛かる。

「あらぁ? この子、何のことか分からないみたいよぉ純」

「やっぱお前を捨てて正解だったわ。なぁ羽海ウミこんなんじゃ一条グループでコピー係すらできないぜ」

「やだぁお荷物ぅ。あっ純、その腕時計」

「あぁこいつか」

 ちらりと見せたのは金の腕時計。

「お前とペアの時計。もうゴミみたいなもんだからな」

「ゴミって……それ記念日に買った……」

 純はツカツカ歩いていくとホールの扉をバンッと開く。

 見せびらかすように腕時計を外してニヤリとほほ笑む。

 ハッと息を呑んだ瞬間、海へ投げ捨てる。

 羽海のキャハハハという高笑いが聞こえると、耳元で囁く。

「純ってば、あなたとの思い出捨てちゃったね」

 体の震えが止まらない。気づけば頬を暖かい涙が伝う。

「うっわぁ泣いてるぅ。ねっ見て見て純」

「もう泣くくらいしか取り柄がないからなこいつ」

 二人の嘲笑いがホール中に響き渡り、哀れみの目線が至るところから向けられている。

「あー笑った笑った」

「おいおい羽海。まだ楽しみはこれからだろう?」

「そうだった! ほらあのモニター見て」

 指を指す方向には大型モニターに映るのは日野内ひのないグループの株の値動き。

 一直線に下へと伸びていく。

 私のスマホが鳴り、 

「大変だ香織! うちの株が暴落しておる!」

 狙ったようなタイミング。

 純の方へ向き直ると二人はキスをしながらこちらを横目に、また嘲笑う。

「残念だったな香織。お前はもう、大企業のご令嬢様じゃなくなった」

 私は手にしたスマホを折れんばかりに握りしめる。

 確証はないけれど、でも間違いはない。

「あらこわぁい。野犬がこちらを睨んでおりますわぁ! 純さん助けて」

「あぁ。おいコンシェルジュ! 今すぐこいつを海へ放り出せ!」

「放り出せって・・・・・・この船はお父様の」

「もうお前等の船じゃねぇよ。なぁ?」

「左様でございます。どうか抵抗なさらずに」

 どこからともなく出てきた二人のコンシェルジュに両腕を掴まれる。

「今、この船はどの辺にいる?」

「アラビア海、サマリア沖でございます」

「サマリアって海賊がよく出るところよねぇ?」

「香織は運が良い。こいつ身体つきだけは良いからな、海賊の娼婦なら稼ぎも悪くないだろう」

「私の身体じゃ満足できないのぉ純」

「いいや。お前は身体も性格も最高だよ羽海」

 戦慄した私は固まった。

 海賊が夜な夜な出る海に放り出される。

 しかし純は容赦なく、私をパーティーホールから追い出し、金の時計と同じように海へ放り投げた。

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